電話施設行爲が電信法その他の法規に觸れる違法のものでも、その施設に屬する器物は刑法第二六一條にいわゆる器物にあたる。
違法に施設せられた電話設備は刑法第二六一條の器物にあたるか
刑法261條
判旨
違法に設置された電話施設であっても他人の所有に属する以上は器物損壊罪の客体に該当し、電話線を端子から引き抜く行為は物質的損壊及び効用の阻害として同罪を構成する。
問題の所在(論点)
1. 違法に設置された物件が器物損壊罪の客体である「他人の物」に該当するか。2. 電話線を端子から引き抜く行為が「損壊」に該当するか。3. 損害が微少な場合に可罰的違法性が否定されるか。
規範
1. 刑法261条にいう「他人の物」とは、当該物の設置行為が行政上の法規に抵触する違法なものであっても、現に他人の所有に属するものである限りこれに該当する。2. 「損壊」とは、物の物質的な損壊のみならず、その物の効用を阻害する行為を包含する。3. 被害が微少であるとしても、直ちに可罰的違法性を欠くとはいえない。
重要事実
被告人は、所管官庁の承認を得ずに設置された、他人が所有する電話施設の電話線を端子の部分から引き抜いた。この行為により、当該電話施設の効用が阻害された。被告人側は、施設自体が違法なものであること、原状回復が可能であること、及び損害が微少であり可罰的違法性がないことを主張して争った。
あてはめ
1. 本件電話施設は電信法等に触れる違法な施設であっても、他人所有の器物である事実に変わりはないため、「他人の物」に該当する。2. 被告人は電話線を端子から引き抜いており、これは器物の物質的損壊を認めるに足りる。また、この行為によって電話施設の効用が阻害されている以上、損壊の程度や原状回復の可否を問わず「損壊」にあたる。3. 被告人の行為により相当の財産上の損害が生じていると認められ、損害が微少であるとして可罰的違法性を否定することはできない。
結論
被告人の行為は器物損壊罪(刑法261条)を構成し、有罪とした原判決は正当である。
実務上の射程
本判決は、保護客体の適法性を問わないことを明示しており、不法占有物や違法設置物の損壊についても同罪の成立を肯定する根拠となる。また、「損壊」の意義について、物質的損壊と効用阻害の両面から認定する実務上の基本枠組みを示している。可罰的違法性の主張に対する判断も、事実関係に基づき厳格に解する姿勢を示したものといえる。
事件番号: 昭和44(あ)1590 / 裁判年月日: 昭和45年12月22日 / 結論: 棄却
一、刑法二六一条の毀棄罪の告訴権者は、毀棄された物の所有者には限られない。 二、ブロツク塀、その築造されている土地およびその土地上の家屋の共有者の一人の妻で、右家屋に、米国に出かせぎに行つている夫のるすを守つて子供らと居住し、右塀によつて居住の平穏等を維持していた者は、右塀の損壊により害を被つた者として、告訴権を有する…