数個の犯罪が併合罪の関係にあるか否かを明かにする必要上、判決理由の冒頭に被告人が執行猶予の判決を受けたこと及びその判決の確定した日時を記載したからといつて、右確定判決に判示された犯行につき再び審理裁判したものでない以上、憲法第三九條に違反するものではなく、憲法第一三條第一四條にも違反しない。
執行猶予中の者であること左判決文に記載することの合憲性
日本國憲法13條,日本國憲法14條,日本國憲法39條,刑法45條
判旨
確定判決の存在を判決文に記載することは、併合罪の成否を判断し刑を量定する上で必要な措置であり、二重処罰を禁じた憲法39条に違反しない。
問題の所在(論点)
数罪の審理において、既に確定した前科・確定判決の事実を判決文に記載し、それを前提に併合罪の成否判断や量刑を行うことは、憲法39条が禁じる二重処罰(一事不再理)に該当するか。
規範
確定判決の事実を判決文に引用・記載することは、数罪が刑法45条所定の併合罪の関係にあるか否かを判別し、適切な刑期を算出する(同法47条、10条)ための前提となる。この記載は既判力のある事案を再審理するものではなく、適正な量刑判断の過程に過ぎないため、憲法39条、14条、13条のいずれにも抵触しない。
重要事実
被告人は複数の犯行に及んでいたが、そのうち一部の犯行について昭和23年6月5日に執行猶予付判決を受け、これが確定した。その後に審理された別罪の判決において、原審は前述の確定判決の存在を判旨に記載した上で刑を量定した。これに対し弁護人は、確定済みの犯行を再度判決文に記載することは二重処罰の禁止(憲法39条)等に違反すると主張して上告した。
あてはめ
原審が被告人の確定判決につき判文に記載した目的は、判示第一の犯行について刑法上の併合罪規定(45条、47条、10条)を適用して刑を量定するとともに、判示第二の犯行との間に併合罪としての関係が認められないことを明確にするためである。これは司法判断として当然なされるべき事実の確認であり、確定判決に係る犯行を再度審理・処罰するものでも、その効力を変更するものでもない。したがって、被告人を人種や身分により差別するものではなく(14条違反否定)、諸般の事情を考慮して刑を言い渡すことも適正な手続の範囲内である(13条違反否定)。
結論
確定判決の記載は併合罪の適用範囲を画定するために不可欠なプロセスであり、憲法39条、14条、13条のいずれにも違反しない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
併合罪(刑法45条)の成否判断において「確定判決」の有無は法律上の不可欠な要件であるため、これを判決文で示すことが二重処罰にあたらないことを明示した基本判例。実務上、前科や確定判決を量刑資料として考慮することが適憲であることを裏付ける論拠として利用できる。
事件番号: 昭和25(あ)3003 / 裁判年月日: 昭和26年3月16日 / 結論: 棄却
右二重刑の主張につき判断するに累犯加重の制度は累犯者であるという事由に基いて新たに犯した罪に対する法定刑を加重し重い刑罰を科し得べきことを是認したに過ぎないもので、前犯に対する確定判決を動かしたり或は前犯に対し重ねて刑罰を科する趣旨のものでないから憲法第三九条に違反するものでないことは当裁判所の判例(昭和二四年(れ)第…