一 巡査が強盗しようと企てて拳銃を携行したときは、それが巡査の執務時間中であつても、銃砲等所持禁止令第一条但書の職務のため所持する場合にあたらない。 二 午後七時過頃に婆さん(當五八年)と娘(當二六年)だけの住家に成年男子三人も侵入して婆さんの口元を手で押えようとしたらそれは被害者の反抗を抑壓する暴行であると認定しても何等實驗則に反するものではない。だから原判決が被告人兩名の犯行を強盜未遂罪に擬したのは正當である。
一 巡査が強盗の目的で拳銃を携行したときと銃砲等所持禁止令第一条但書 二 強盜の手段として被害者の反抗を抑壓する程度の暴行があつたとの認定と實驗則
刑法236條,銃砲等所持禁止令1条但書
判旨
成年男子3名が夜間に住居へ侵入し、高齢女性の口を手で押さえようとする行為は、被害者の反抗を抑圧するに足りる「暴行」に該当し、強盗未遂罪を構成する。
問題の所在(論点)
成年男子3名が夜間に住宅へ侵入し、高齢女性の口を押さえようとした行為が、強盗罪における「反抗を抑圧するに足りる暴行」にあたるか。
規範
強盗罪(刑法236条)における「暴行」とは、相手方の反抗を抑圧するに足りる程度の不法な有形力の行使をいう。その程度は、行為者の数、場所、時間帯、被害者の属性(年齢・性別等)といった諸般の事情を総合的に考慮して判断される。
重要事実
被告人A、Bら成年男子3名は、午後7時過ぎの夜間、高齢の女性(58歳)と若年女性(26歳)の2人だけが在宅する住居に侵入した。被告人らは強盗を企てて拳銃を携行しており、侵入後に高齢女性の口元を手で押さえようとした。この段階で犯行は阻止され、強盗未遂罪として起訴された。
事件番号: 昭和23(れ)913 / 裁判年月日: 昭和23年12月16日 / 結論: 棄却
被告人等を少年法による保護處分その他實刑を科せざる處分を受けしめるのが相當であるか否か等はすべて事實審たる原裁判所の裁量權にのみ屬するところである。
あてはめ
まず、成年男子3名という多人数で、夜間に女性2人のみの住居へ侵入したという状況自体が、被害者に極度の恐怖心を与えるものである。次に、身体的弱者である高齢女性に対し、至近距離から口を塞ごうとする有形力の行使は、単なる脅しを超えて直接的に身体自由を拘束し、抵抗を著しく困難にするものといえる。このような具体的状況下での行為は、社会通念上、被害者の反抗を抑圧するに足りる程度の暴行であると解するのが相当である。
結論
被告人らの行為は強盗罪の暴行に該当し、強盗未遂罪の成立を認めた原判決は正当である。
実務上の射程
強盗罪の実行の着手(暴行・脅迫の開始)を認定する際のリーディングケース。反抗抑圧の有無は、加害者の人数、凶器の有無、被害者の体力差、時間的・場所的状況などの客観的事実を組み合わせて論証する際の雛形となる。
事件番号: 昭和23(れ)1425 / 裁判年月日: 昭和24年2月8日 / 結論: 棄却
被告人の控訴申立が理由あるものであつたことは所論のとおりである、而して此場合控訴申立後の未決勾留日數は舊刑訴第五五六條の規定に依り刑の執行の際當然本刑に通算されないものであつて、原審が判決で之が通算を言渡すべきものではない。
事件番号: 昭和25(れ)1643 / 裁判年月日: 昭和26年1月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗の目的で凶器を携帯して他家へ侵入し、家人に対し凶器を示して脅迫を開始した以上、財物の物色に至らなくても強盗の実行の着手があったと認められる。 第1 事案の概要:被告人は友人ら4名と共謀し、強盗目的で日本刀や匕首を携帯して被害者方に赴いた。訪問客を装って家人が表入口を開けたところへ屋内に侵入し、…
事件番号: 昭和23(れ)795 / 裁判年月日: 昭和23年11月18日 / 結論: 棄却
一 少年法第七一條第一項の趣旨は、裁判所が審理した結果被告人等に對して所論のごとく保護處分をなすのを相當と認めた場合には少年審判所に事件を送致しなければならぬのであるが、被告人等に對して保護處分をするのが相當であるか否かは、事實審たる原裁判所が諸般の具體的事情を考慮して定むべきものであつてその裁量權にのみ屬するところで…