一 昭和二二年政令第六二號(教職員の除去、就職禁止等に關する政令)第七條は單なる注意的、訓示的の警戒規定ではなく、之に對する違反行爲は、昭和二一年勅令第三一一號(聯合國占領軍の占領目的に有害な行爲に對する處罰等に關する勅令)第四條第一項に依り處罰されるものである。 二 昭和二一年勅令第三一一號の罰則を以て常に昭和二二年政令第六二號の罰則より重きものとする前提に基く主張は、單に片面的に本罰則の重き刑のみを比較した議論であつて、反面において勅令の罰則は刑種も四種に亘り最高最低の間に極めて幅の廣い裁量の餘地があり最低は科料にまで及んでいる點を看過するものであつて妥當ではない。
一 昭和二二年政令第六二號第七條の違反行爲と昭和二一年勅令第三一一號による處罰 二 昭和二一年勅令第三一一號と昭和二二年政令第六二號の刑の輕重比較
昭和22年政令62號7條,昭和22年政令62號8條,昭和21年勅令311號4條1項,昭和21年勅令311號2條3項
判旨
教職不適格者の旧勤務先への出入禁止規定に関し、罰則が直接定められていない場合でも、上位の勅令を適用して処罰可能であるが、出入に「正当の事由」があるか否かは社会通念に基づき個別具体的に判断されるべきである。
問題の所在(論点)
1. 罰則を欠く政令の禁止規定違反に対し、上位の包括的罰則規定(勅令)を適用して処罰することの可否。2. 盗難事件発生時の現場立ち入りが、出入禁止規定の例外である「正当の事由」に該当するか。3. 抽象的な「経過報告」という事実のみで職務従事性を認めることができるか。
規範
1. 特定の政令に罰則の直接規定がない場合であっても、当該政令が連合国最高司令官の指令を履行するために発せられたものであり、かつ上位の勅令(ポツダム勅令)に包括的な罰則規定が存在する場合には、同勅令を適用して処罰することができる。2. 禁止された場所への出入について「正当の事由」の有無を判断するにあたっては、当該出入の目的や状況が、社会通念上当然に許容されるべき事柄に属するか否かを基準とする。
事件番号: 昭和24(れ)256 / 裁判年月日: 昭和24年4月26日 / 結論: 破棄差戻
一 昭和二二年政令第六二號第七條は教務不適格者が從前の地位勢力等を利用して退職當時の勤務先であつた學校等に對してこれを支配したり、其他何等かの影響を與へたりすることを防止するため右學校等の執務場所に出入することを禁じたものである。此趣旨から見て同條の「執務の場所」とは退職當時の勤務先であつた學校が既に使用して居た執務の…
重要事実
教職を去らされた教職不適格者である被告人が、退職当時の勤務先であった学院の新校舎開校式に出席して「経過報告」を行った(事実1)。また、後日、同学院の事務室で金庫が破られる盗難事件が発生した際、その現場に立ち入った(事実2)。原審は、事実1につき校長の職務に従事したものとし、事実2につき「正当の事由」なく出入したとして、昭和22年政令第62号(教職員の除去等に関する政令)及び勅令第311号違反により被告人を処罰した。
あてはめ
1. 政令第62号は占領目的達成のための法令であり、これに違反する出入行為は「占領目的に有害な行為」として勅令第311号4条1項の処罰対象となる。2. 事実2について、盗難事件という異常事態において利害関係者が現場に赴くことは、社会通念上当然に許容されるべき事柄であり、特段の事情がない限り「正当の事由」があるといえる。原審がこれを漫然と否定したのは理由不備である。3. 事実1の「経過報告」についても、その内容(建築に関すること等)が具体的に特定されなければ、直ちに校長の職務に従事したとは認定できない。
結論
被告人の行為が「正当の事由」を欠く出入や職務従事にあたるかについての原審の事実認定には、理由不備または理由齟齬の違法がある。したがって、原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
法令違反の成否において「正当の事由」等の除外事由が規定されている場合、単に形式的な禁止該当性だけでなく、社会通念に照らした実質的な違法性の有無を具体的事実に即して検討すべきことを示す。また、罪刑法定主義の観点から、処罰規定の連結構造と、構成要件該当事実の具体的特定(理由不備の回避)の重要性を強調する事例として機能する。
事件番号: 昭和23(れ)904 / 裁判年月日: 昭和23年12月16日 / 結論: 破棄自判
一 昭和二二年六月二七日から同年八月二五日までの間において行われた連合国占領軍の財産を不法に所持した行為は、昭和二一年勅令第三一一号第二条第三項、第四条を適用して処断すべきである。 二 證人申請の採否も原審の自由裁量に屬すること言うまでもないから、原審がそれを採用しなかつたからとて、憲法第三七條第一項の公平な裁判所の裁…
事件番号: 昭和24(れ)1480 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 破棄自判
一 昭和二〇年一二月連合国軍最高司令官総司令部参謀副官発第三号日本政府に対する覚書、神道指令の4は「日本政府、県及び市町村の凡ての官公吏、属官、雇員並にあらゆる教師、教育職員、市民及び居住者は本指令の一切の規定の字句並に精神を遵守することに対し個人的責任を負うべきものである」と規定しているのであるが、それは右に規定した…
事件番号: 昭和24(れ)2776 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
仮りに、古い被告人の私物であつて、朝鮮向の貨物でないから沒収をしたのが違法であるとしても、右は判示多数の沒収品中の一点に過ぎないから、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認め難い。
事件番号: 昭和26(あ)1517 / 裁判年月日: 昭和26年10月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】ポツダム宣言の受諾に伴い発せられたいわゆるポツダム勅令(昭和20年勅令第542号等)は、憲法に適合し、有効である。 第1 事案の概要:被告人は、昭和20年勅令第542号(ポツダム宣言の受諾に伴い発する命令に関する件)及び昭和21年勅令第311号(連合国軍総司令官の要請に基づく命令の実施等に関する件…