一 昭和二二年六月二七日から同年八月二五日までの間において行われた連合国占領軍の財産を不法に所持した行為は、昭和二一年勅令第三一一号第二条第三項、第四条を適用して処断すべきである。 二 證人申請の採否も原審の自由裁量に屬すること言うまでもないから、原審がそれを採用しなかつたからとて、憲法第三七條第一項の公平な裁判所の裁判を受ける權利を害するものといえないこと並びに同條第二項後段に違反するものでないこといずれも當裁判所の判例の趣旨とするところである。(昭和二二年(れ)第二三〇號同二三年七月二九日言渡大法廷判決)
一 昭和二二年六月二七日から同年八月二五日までの間に行われた連合国占領軍の財産不法所持罪に対する適用法条 二 證人申請の採否についての事實審の裁量權と憲法第三七條
連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令1条,連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令2条,連合国占領軍の占領目的に有害な行為に対する処罰等に関する勅令4条,刑訴法344條,憲法37條
判旨
執行猶予の言渡しは裁判所の自由な裁量に属する任意事項であり、公判で申請された証人等の採否も裁判所の裁量に属するため、これらを採用しなくとも憲法37条違反や証拠調の義務違反には当たらない。
問題の所在(論点)
1. 執行猶予の言渡しを行わないことが裁判所の裁量権の逸脱として違法となるか。 2. 当事者が申請した証人や証拠書類を採用しないことが、憲法37条違反や取調義務のある証拠の不取調べ(旧刑訴法410条13号)に該当するか。
規範
1. 執行猶予の言渡しは、刑の一般予防の目的を害さず、かつ特別予防の目的達成に適するか否かを裁判所が職務上自由に裁量して決定すべき任意事項である。 2. 証人申請の採否は裁判所の自由裁量に属し、これを採用しないことが直ちに憲法37条1項・2項に違反するものではない。 3. 旧刑訴法410条13号の「法律ニ依リ公判ニ於テ取調フヘキ証拠」とは、法律上必ず取調べを要する証拠を指し、当事者が申請した証人や参考書類はこれに含まれない。
事件番号: 昭和25(あ)1209 / 裁判年月日: 昭和26年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法36条が禁止する「残虐な刑罰」とは、不必要な精神的・肉体的苦痛を内容とする人道上残酷と認められる刑罰を指す。法律の範囲内で量定された実刑は、被告人にとって過重に感じられたとしても「残虐な刑罰」には当たらない。 第1 事案の概要:被告人は昭和21年勅令311号(連合国軍関係事項)違反の罪に問われ…
重要事実
被告人が昭和21年勅令第311号違反(占領目的に有害な行為)に問われた事件において、原審は被告人側が申請した証人や、弁護人が提出した証明書、診断書、嘆願書、レントゲン写真等の証拠を採用せず、また執行猶予の言渡しも行わなかった。被告人側は、これらの措置が公平な裁判を受ける権利の侵害や、法律上取調べを要する証拠の不取調べにあたるとして上告した。
あてはめ
1. 執行猶予については、原審が諸般の情状に照らしてその適否を自由裁量により判断したものであり、言渡しがなかったとしても違法とはいえない。 2. 証人等の採否も原審の自由裁量であり、憲法37条が保障する権利を害するものではない。また、申請された証人や提出された診断書・写真等は、法律上必ず取調べを要する証拠(旧刑訴法342条等)には該当しないため、取調べを行わなかったことに手続上の違法はない。
結論
原判決に執行猶予の不付与や証拠不採用に関する違法はない。ただし、原判決はすでに削除された法令を適用した点において法令不当適用の違法があるため、職権により破棄し、自判により被告人を懲役4月及び罰金3万円に処する。
実務上の射程
裁判所の広範な証拠採用権限および執行猶予に関する裁量権を認めた判例として、手続的違反の主張を否定する際の根拠として機能する。ただし、現代の刑事訴訟においては必要不可欠な証拠の不採用が職権濫用や審理不尽とされる可能性は否定されない点に留意が必要である。
事件番号: 昭和24(れ)1480 / 裁判年月日: 昭和26年7月20日 / 結論: 破棄自判
一 昭和二〇年一二月連合国軍最高司令官総司令部参謀副官発第三号日本政府に対する覚書、神道指令の4は「日本政府、県及び市町村の凡ての官公吏、属官、雇員並にあらゆる教師、教育職員、市民及び居住者は本指令の一切の規定の字句並に精神を遵守することに対し個人的責任を負うべきものである」と規定しているのであるが、それは右に規定した…
事件番号: 昭和24(れ)2776 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
仮りに、古い被告人の私物であつて、朝鮮向の貨物でないから沒収をしたのが違法であるとしても、右は判示多数の沒収品中の一点に過ぎないから、原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものとは認め難い。
事件番号: 昭和25(あ)1848 / 裁判年月日: 昭和31年1月25日 / 結論: その他
一 第一審判決は、被告人らが共謀のうえ「いま福井県敦賀市では占領軍兵員により婦女子に対するにくむべき強姦がいたるところでおこなわれていて、恐怖におそわれた敦賀市民は娘をどしどし疏開させている。うんぬん」という意味の真実に符合せずかつ公安を害するおそれある事項を掲載した新聞を印刷したとの事実を認定して、昭和二一年勅令第三…
事件番号: 昭和23(れ)1297 / 裁判年月日: 昭和23年11月4日 / 結論: 破棄差戻
一 昭和二二年政令第六二號(教職員の除去、就職禁止等に關する政令)第七條は單なる注意的、訓示的の警戒規定ではなく、之に對する違反行爲は、昭和二一年勅令第三一一號(聯合國占領軍の占領目的に有害な行爲に對する處罰等に關する勅令)第四條第一項に依り處罰されるものである。 二 昭和二一年勅令第三一一號の罰則を以て常に昭和二二年…