本件再上告は、東京高等裁判所(第一二刑事部)が上告審として上告人が期間内に上告趣意書を提出しなかつたことを理由としてした上告棄却の決定に對してなされたものであるが再上告は、高等裁判所が上告審としてした判決に對してのみ許されるものであることは、刑訴應急措置法第一七條の規定するところであるから、右決定に對してなされた本件再上告は不敵法である。
高等裁判所の上告棄却の決定に對する再上告の適否
刑訴應急措置法17條
判旨
高等裁判所が上告審としてした上告棄却の「決定」に対しては再上告をすることはできず、また当該決定に対する抗告も憲法判断の不当を理由とする場合に限られる。
問題の所在(論点)
高等裁判所が上告審として行った上告棄却の「決定」に対し、再上告を申し立てることの可否、および抗告として不服を申し立てる際の要件が問題となる。
規範
再上告は、高等裁判所が上告審としてした「判決」に対してのみ許容される(刑訴応急措置法17条)。また、上告棄却決定に対する抗告は、当該決定自体において憲法適合性に関する判断が不当であることを理由とする場合に限り許容される(同法18条)。
重要事実
上告人が期間内に上告趣意書を提出しなかったことを理由として、東京高等裁判所が上告審として上告棄却の決定を行った。これに対し、上告人は当該決定を不服として再上告を申し立てた。上告人が主張した理由は、原々審(第2審)判決に事実誤認や擬律錯誤があり、ひいては憲法違反があるという内容であった。
あてはめ
本件申立ては高等裁判所の「決定」に対するものである。刑訴応急措置法17条は再上告の対象を「判決」に限定しているため、本件決定への再上告は不適法である。また、本件申立てを抗告と解釈しても、上告人が主張する理由は第2審判決の当否を争うものであって、原決定(上告棄却決定)自体の憲法判断の不当を指摘するものではない。したがって、抗告としての適法要件も満たさない。
結論
本件再上告は不適法であり、棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事訴訟手続における上告審の決定に対する不服申立ての限界を画した事例。答案上は、裁判の形式(判決・決定)による上訴可否の区別や、特別抗告(現行刑訴法433条等)の趣旨を説明する際の基礎知識として活用できる。
事件番号: 昭和26(あ)2130 / 裁判年月日: 昭和26年10月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、かつ同法411条を適用して職権で判決を破棄すべき事由も認められない場合、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人および弁護人が上告を申し立て、上告趣意書を提出した事案。最高裁判所において記録を精査した結果、上告趣意の内容および原判…
事件番号: 昭和23(つ)35 / 裁判年月日: 昭和23年12月20日 / 結論: 棄却
最高裁判所に對しては、刑訴應急措置法第一八條のように、特に最高裁判所に抗告を申立てることを許された場合の外、抗告をすることは許されないものであることは、既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二二年(つ)第七號事件同年一二月八日大法廷決定參照)
事件番号: 昭和33(し)73 / 裁判年月日: 昭和33年11月20日 / 結論: 棄却
佐賀地裁伊万里支部が本件再審請求はその法令上の方式に違反するという理由で刑訴四四六条により再審請求を棄却する旨の決定をしたこと、これに対して申立人から即時抗告の申立があつたが原審である福岡高裁は右即時抗告を理由なしとしてこれを棄却する旨の決定をしたこと明らかである。従つて原決定は刑訴四二七条にいう抗告裁判所の決定であつ…