「原上告判決には、第二審判決が憲法を無視した處分であるか否かについてした判斷に不當があるから、更に上告の申立をする」というごとき漠然たる理由では、再上告の申立は不適法である。
上告理由の漠然とした主張と再上告適否
刑訴應急措置法17條1項
判旨
上告の申立ては、その理由を漠然と主張するのではなく、趣意を具体的に明示して行うべきであり、これを欠く申立ては不適法として棄却される。
問題の所在(論点)
上告(再上告)の申立において、上告理由が「不当である」と述べるに留まるなど抽象的な記載に限定される場合、刑事訴訟法上の適法な申立として受理されるか。
規範
上告の申立は、裁判所がその内容を審判の対象として特定できるよう、上告理由となる趣意を具体的かつ明確に示してなされるべきである。抽象的または漠然とした主張に留まる場合は、審理を継続することが不可能なため、適法な上告の申立とは認められない。
重要事実
被告人が再上告を申し立てるにあたり、提出した申立書において「原判決(上告判決)が、第二審判決の憲法判断について不当な判断をした」との旨を主張した。しかし、当該主張は「不当であるから更に上告する」という点に終始し、具体的にどの点が憲法に違反し、いかなる理由で不当であるかという詳細な法的根拠の提示を欠いていた。
あてはめ
本件における再上告の理由は、単に原判決の判断に不当があるという抽象的な指摘に留まっている。このような漠然たる理由提示では、最高裁判所がそれに基づいてどのような憲法的疑義があるのかを具体的に審判することができない。したがって、本件申立は上告理由を具体的に明示しているとは評価できず、手続上の要件を満たさない。
結論
本件再上告の申立は、上告理由の具体的明示を欠き不適法であるため、刑事訴訟法446条に基づき棄却を免れない。
実務上の射程
本判決は、刑事訴訟における上告提起の際の「理由の具体性」の必要性を確認したものである。実務上、上告趣意書等において単なる事実誤認や不当性を主張するだけでなく、違憲性や判例違反を具体的に指摘しなければ、門前払い(棄却)を受けるリスクがあることを示す基準として機能する。
事件番号: 昭和25(あ)246 / 裁判年月日: 昭和25年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意書において控訴趣意書を引用するのみで具体的な理由を記載しない場合は、適法な上告理由として認められない。 第1 事案の概要:被告人が上告を提起したが、提出された上告趣意書には具体的な上告理由が記載されておらず、単に「控訴趣意書を引用する」旨の記載があるのみであった。 第2 問題の所在(論点)…