刑法第四三條但書の場合に該當しない場合において、未遂減刑をするとせざるとは原審の專權に屬するところであるから原審が被告人に對しこれをしなくとも違法ではない。
刑訴應急措置法第一三條第二項と未遂減刑
刑法43條
判旨
強盗罪の共同正犯が成立するためには、共犯者間に強盗の共謀が認められれば足り、未遂減軽(刑法43条本文)を適用するか否かは裁判所の裁量に属する。
問題の所在(論点)
1. 窃盗の目的で集まった者が現場で強盗に及んだ場合、強盗罪の共同正犯としての共謀が認められるか。 2. 刑法43条本文(未遂減軽)を適用しないことが、直ちに法律の適用を誤った違法となるか。
規範
共同正犯(刑法60条)が成立するためには、共犯者間に特定の犯罪を実行する意思の連絡(共謀)があり、これに基づいて各自が協力して犯罪を実現したと認められることを要する。また、未遂罪において刑を減軽するか否かは、裁判所の専権(裁量)に属する事項である。
重要事実
被告人A、B、Cは、当初は窃盗の目的で京都市に赴いたが、目的を達しなかったため、共謀して金品強取を企てた。被告人らは顧客を装って店舗に侵入し、Aが店員の首を絞め、Bが出刃包丁を突きつけて脅迫し、Cが猿轡を嵌めようとしたが、店員が逃げ出し叫んだため、何も取らずに逃走した。第一審および原審は、これらの事実から強盗未遂罪の共同正犯の成立を認めたが、未遂減軽は適用しなかった。これに対し、被告人側は「窃盗の意思はあったが強盗の共謀はない」として証拠不備を主張し、また「他者の事件では未遂減軽がなされたのに本件でなされないのは不当である」として上告した。
あてはめ
1. 原審が引用した各証拠によれば、被告人ら3名が共同して暴行・脅迫を用いて金品を強取しようとした事実が認められ、単なる窃盗の意思を超えた強盗の共謀があったと認定するに十分である。したがって、強盗未遂の共同正犯の成立を認めた原判決に違法はない。 2. 刑法43条本文は「その刑を減軽することができる」と規定しており、任意的減軽事由である。したがって、未遂罪において実際に減軽を施すかどうかは、犯行の態様や情状を考慮して裁判所が決定すべき事項であり、これを行わなかったとしても直ちに違法とはならない。
結論
強盗未遂罪の共同正犯の成立を認め、未遂減軽を適用しなかった原判決に違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
共同正犯の成立要件として「強盗の意思」と「意思の連絡(共謀)」が必要であることを前提としつつ、その認定は事実認定の問題であることを示す。また、実務上、未遂減軽が裁判所の広範な裁量に属することを論証する際の根拠となる。
事件番号: 昭和22(れ)21 / 裁判年月日: 昭和22年12月4日 / 結論: 棄却
共媒の上犯罪を實行した場合には、共犯者の一人が行爲の實行を全然分擔しなくともその責に任ずべきものであるから判決に共犯者各自の行動を一々判示するの必要はない。
事件番号: 昭和23(れ)1370 / 裁判年月日: 昭和24年1月11日 / 結論: 棄却
被告人が相被告人と共謀の上、強盜をした事實を認定している原判決において、二人共謀の事實と共犯者のどちらかが現實に脅迫の實行行爲をしたことが判分上明確である以上、共犯者のうちどちらかが現實に實行行爲をしたかを明示していなくても、被告人の「罪トナルヘキ事實」の判示として缺くるところはない。