上告裁判所は、上告審における未決勾留日數を本刑に算入する言渡をすることができる。
上告審における未決勾留日數の算入
刑法21條
判旨
事実の認定は事実審裁判所の専権に属し、上告審において原判決の事実認定を非難することは適法な上告理由とならない。
問題の所在(論点)
法律審である上告審において、原判決の事実認定の不当を主張することが適法な上告理由となるか。また、事実認定の権限はどの裁判所に帰属するか。
規範
事実の認定は事実審裁判所の専権に属する。したがって、第一審または控訴審が証拠に基づいて確定した事実に誤りがある旨を主張してその内容を非難することは、法律審である最高裁判所に対する適法な上告理由とは認められない。
重要事実
窃盗罪により有罪判決を受けた被告人が、自分は犯行に及んでいないと主張し上告した。被告人は、警察官の思い違いや過去の裁判の経緯、自身の潔白な生活態度などを縷々述べて原判決の事実誤認を主張した。これに対し、原判決は被害者および逮捕した警察官の供述調書などの証拠に基づき、窃盗の事実を認定していた。
あてはめ
本件において、被告人の主張は「窃盗の行為は犯していない」という原判決の事実認定に対する非難に帰する。しかし、証拠によれば原判決が摘示した事実は優に認めることが可能である。事実の認定は事実審たる原審の専権であり、これを争う主張は、当時の刑事訴訟法上の上告理由を構成するものではないと判断される。
結論
上告を棄却する。原判決の事実認定を非難することは適法な上告理由とならないため、本件上告は理由がない。
実務上の射程
上告審の性格(法律審・事後審)を説明する際の基礎となる判例である。答案上は、事実誤認の主張が直ちに適法な上告理由にならないことの論拠として「事実認定は事実審の専権」というフレーズを用いる。もっとも、現在の実務では「著しい事実誤認」が破棄事由となる点に留意が必要である。
事件番号: 昭和25(れ)1737 / 裁判年月日: 昭和26年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】証拠の採否及び事実の認定は原審の自由裁量に属する事項であり、これに対する不服は適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の事実認定に不服を申し立て、弁護人が証拠の採否や事実誤認を主張して上告を提起した事案。 第2 問題の所在(論点):原審における証拠の採否および事実認定の妥当性…