一 刑訴應急措置法第一二條の規定中「證人その他者(被告人を除く)」とある被告人というのは供述者又は作成者たる當該被告人及び同一審級の同一公判廷における共同被告人を指稱する。 二 違法な證據を他の證據と不可分的に綜合して事實を認定した場合、その違法は判決に影響を及ぼさないものとはいえない。
一 刑訴應急措置法第一二條の規定中「(被告人を除く)」の被告人の意義 二 違法な證據を他の證據と不可分的に綜合して事實を認定した判決
刑訴應急措置法12條1項本文,刑訴法336條,刑訴法360條1項,刑訴法411條
判旨
刑事訴訟法応急措置法12条1項にいう「被告人」とは、当該被告人および同一審級の同一公判廷における共同被告人を指し、別審級の共同被告人はこれに含まれない。したがって、別審級の共同被告人の供述書類を証拠とする際、被告人の請求があるにもかかわらず尋問の機会を与えないことは、同条に違反し許されない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法応急措置法12条1項(現在の憲法37条2項、刑訴法321条等に関連する反対尋問権の保障)において、証拠排除の例外とされる「被告人」の範囲に、審級を異にする共同被告人が含まれるか。
規範
法12条1項が「被告人を除く」とする趣旨は、当該被告人は自ら弁解可能であり、同一公判廷の共同被告人は法11条2項により随時尋問可能だからである。したがって、この「被告人」とは、①当該被告人および②同一審級の同一公判廷における共同被告人を指す。これに対し、公判廷を別にし、または審級を異にする共同被告人は、被告人に尋問の機会を与えなければその権利を保護できないため、同条の「被告人」には含まれない。
重要事実
被告人Aの幇助事実を認定するに際し、原審(二審)は、第一審での共同被告人Bに対する予審訊問調書を証拠として採用した。Aの弁護人は、Aの意思に基づきBの証人尋問を申請したが、原審はこれを不必要として却下し、Bを尋問しないまま当該調書を他の証拠と不可分に総合して有罪判決の基礎とした。
あてはめ
本件における供述者Bは、第一審の共同被告人であり、原審(二審)においてはAと審級を異にしている。このような共同被告人は、法12条1項にいう「被告人」に包含されない。それにもかかわらず、原審は被告人A側の請求があったにもかかわらずBを尋問する機会を与えず、かつ法令上の除外理由もないのにその供述書類を証拠とした。これは証拠能力のない証拠を事実認定に用いた違法があるといえる。
結論
別審級の共同被告人の供述書類につき、被告人に尋問の機会を与えず証拠とした原判決には、法12条1項に違反する違法があり、判決に影響を及ぼすことが明らかであるため、破棄を免れない。
実務上の射程
伝聞例外や反対尋問権の保障の範囲を画定する際の基礎となる判例である。特に「共同被告人の供述」が伝聞証拠として問題になる場面で、被告人の防御権(尋問権)がどこまで及ぶか、どのような場合に供述者に公判廷での証言を求めるべきかを判断する基準として機能する。
事件番号: 昭和22(れ)331 / 裁判年月日: 昭和23年4月13日 / 結論: 棄却
一 該公判において爲された審理の範圍は上告理由書に書いてある丈けのこと(國籍登録手續をしたかどうか、日本の裁判權に服することに異議はないか、を訊ねたこと)で、犯罪の實體についての審理は何も爲されて居ない。而して第二回の公判においては辯護人立曾の上被告人の人違でないかどうかの點を初めとし、犯罪の實體に付き完全な手續を以て…
事件番号: 昭和24(れ)2673 / 裁判年月日: 昭和25年3月2日 / 結論: 棄却
一 公判において檢察官のする被告事件の要旨の陳述は、豫審終結決定書が豫審請求書と内容が同一である限り、たとえ右決定が無効のものであつても、その決定書に基いてされても差支ない。 二 昭和二二年五月三日の前に豫審が終結しても、その決定書の送達が同日前になされなかつたときは、豫審終結決定は効力を生せず、同日以後は豫審の請求に…