少年の保護事件に係る補償に関する法律5条1項の決定に対する抗告は許されず,このように解しても憲法14条,32条に違反しない。
少年補償決定に対する抗告の可否と憲法14条,32条
少年の保護事件に係る補償に関する法律5条,刑事補償法19条,憲法14条,憲法32条
判旨
少年の保護事件に係る補償決定は、家庭裁判所が職権で判断するものであり刑事補償と性質を異にするため、刑事補償法を類推適用した抗告は許されない。
問題の所在(論点)
少年の保護事件に係る補償に関する法律5条1項の補償決定に対し、刑事補償法19条1項を準用・類推適用して抗告を申し立てることが認められるか。
規範
「少年の保護事件に係る補償に関する法律」に基づく決定は、家庭裁判所が職権により補償の要否及び内容を判断するものであり、刑事補償法上の裁判とはその性質を異にする。したがって、同法に規定のない抗告につき、刑事補償法19条1項を準用・類推適用することは認められない。
重要事実
少年保護事件において不当な身体拘束等を受けたとして補償を求めた事案において、家庭裁判所がなした補償に関する決定に対し、申立人が抗告を提起した。同法には抗告の規定がないため、刑事補償法の準用・類推適用の可否が争点となった。
事件番号: 平成3(し)62 / 裁判年月日: 平成4年7月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】非行事実が認められないことを理由に保護処分に付さない旨の決定を受けた者に対し、身体の自由の拘束による補償を行わなくても、憲法40条、29条3項、14条に違反しない。 第1 事案の概要:少年法に基づき身体の拘束(鑑別所収容等)を受けた少年に対し、家庭裁判所が非行事実が認められないことを理由として、同…
あてはめ
少年の保護事件に係る補償決定は、家庭裁判所の職権判断に基づくものであり、対審構造を前提とする刑事補償とは本質的に異なる。このような決定の性質に鑑みれば、不服申立手段が限定されていても憲法14条(法の下の平等)や32条(裁判を受ける権利)に違反するものではないと判断される。
結論
刑事補償法19条1項の準用・類推適用による抗告は許されず、本件抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
少年保護事件の補償決定に対する不服申立の可否を論ずる際の根拠となる。刑事手続と保護手続の性質の差異を強調する文脈や、準用・類推適用の限界を論じる際の実例として機能する。
事件番号: 平成1(し)123 / 裁判年月日: 平成3年3月29日 / 結論: 棄却
少年法二三条二項による不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法一条一項にいう「無罪の裁判」には当たらない。
事件番号: 昭和43(し)40 / 裁判年月日: 昭和43年7月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】保釈保証金の没取決定において、決定前に告知、弁解、防御の機会が与えられていなくても、事後に抗告による不服申立ての機会が保障されている限り、憲法31条および29条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人の保釈保証金について没取決定がなされた。これに対し、被告人側は、決定に先立ってあらかじめ告知、弁解…
事件番号: 昭和55(し)42 / 裁判年月日: 昭和55年5月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年保護処分の決定およびその抗告棄却決定に対する再審申立ての可否は、憲法上の問題ではなく立法政策の問題であり、現行法上これを受理しないことは違憲ではない。 第1 事案の概要:少年保護処分(少年院送致等)の決定、およびそれに対する抗告を棄却した決定に対し、不服を申し立てる側が「再審申立て」を求めて抗…
事件番号: 昭和63(し)104 / 裁判年月日: 昭和63年11月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事補償請求を棄却した地方裁判所の決定に対し、直接最高裁判所へ抗告することは、刑事補償法19条2項の要件を欠き不適法である。 第1 事案の概要:抗告人は、地方裁判所がなした刑事補償請求を棄却する決定に不服があり、高等裁判所を経ることなく、最高裁判所に対して直接本件抗告を申し立てた。 第2 問題の所…