一 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法二六条、教育基本法一〇条に違反しない。 二 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法二一条二項前段に違反しない。 三 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法二一条一項に違反しない。 四 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定は、憲法二三条に違反しない。 五 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定における合否の判定等の判断は、文部大臣の合理的な裁量にゆだねられているが、文部大臣の諮問機関である教科用図書検定調査審議会の判断の過程に、申請原稿の記述内容又は欠陥の指摘の根拠となるべき検定当時の学説状況等についての認識や、検定基準に違反するとの評価等に関して看過し難い過誤があり、文部大臣の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には、右判断は、裁量権の範囲を逸脱したものとして、国家賠償法上違法となる。
一 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法二六条、教育基本法一〇条 二 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法二一条二項前段 三 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法二一条一項 四 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定と憲法二三条 五 学校教育法二一条一項(昭和四五年法律第四八号による改正前のもの)、五一条(昭和四九年法律第七〇号による改正前のもの)、旧教科用図書検定規則(昭和二三年文部省令第四号)、旧教科用図書検定基準(昭和三三年文部省告示第八六号)に基づく高等学校用の教科用図書の検定における文部大臣の裁量的判断と国家賠償法上の違法
学校教育法21条1項(昭和45年法律第48号による改正前のもの),学校教育法51条(昭和49年法律第70号による改正前のもの),旧教科用図書検定規則(昭和23年文部省令第4号)1ないし3条,憲法21条,憲法23条,憲法26条,教育基本法10条,国家賠償法1条1項
判旨
教科書検定は、一般図書としての出版を制限せず、合格した図書に教科書としての地位を与えるにすぎないため、憲法21条2項が禁止する「検閲」には当たらない。また、文部大臣による検定は、学術的・教育的な専門技術的判断であり、その裁量権の行使に看過し難い過誤がなければ適法である。
問題の所在(論点)
1. 教科書検定は憲法21条2項が禁止する「検閲」に該当するか。 2. 教科書検定制度は、教育の自由(26条)や学問の自由(23条)に照らして合憲か。 3. 文部大臣の検定処分が裁量権を逸脱・濫用したといえるための判断基準は何か。
規範
1. 憲法21条2項の「検閲」とは、行政権が主体となり、思想内容等の表現物を対象として、その全部又は一部の発表の禁止を目的とし、発表前に内容を審査して不適当なものの発表を禁止する特質を備えるものをいう。 2. 憲法26条に基づき、国は必要かつ相当な範囲で教育内容を決定する権能を有するが、不当な支配は許されない。教科書検定における合否判定は、文部大臣の合理的な裁量に委ねられる。ただし、記述内容や学説状況の認識、基準違反の評価等に「看過し難い過誤」があり、文部大臣の判断がこれに依拠した場合には、裁量権の範囲を逸脱し違法となる。
重要事実
歴史学者である上告人が執筆した高等学校用日本史教科書の原稿に対し、文部大臣(当時)が学習指導要領への不適合や記述の正確性の欠如(一面的・断定的表現など)を理由に、昭和37年度に不合格処分、昭和38年度に条件付合格処分を行った。これに対し上告人が、検定制度は検閲にあたり憲法21条、23条、26条等に違反し、かつ裁量権の逸脱があるとして国家賠償を請求した。
あてはめ
1. 本件検定は、不合格でも一般図書として出版することを何ら妨げないため、発表禁止目的や発表前審査という「検閲」の特質を欠く。したがって、21条2項に反しない。 2. 児童生徒の批判能力の不足や教育の機会均等、公共の利益を考慮すれば、国による内容審査は合理的で必要やむを得ない制限であり、21条1項、23条、26条に反しない。 3. 本件の検定意見は、当時の学術的状況や教育的配慮に基づき、審議会の専門的判断を経てなされたものである。一部に細部にわたりすぎる指摘があっても、学説の通説的状況に照らして明らかに誤った評価を下したような「看過し難い過誤」は認められない。
結論
本件検定制度は合憲であり、文部大臣の判断に裁量権の逸脱・濫用も認められないため、上告人の請求を棄却した原審の判断は正当である。
実務上の射程
検閲の定義(4要素)を確立した重要判例である。行政法上の裁量審査としては、専門技術的裁量において「看過し難い過誤」の有無を判断枠組みとする手法が、教科書検定以外の場面でも引用される。
事件番号: 平成6(オ)1119 / 裁判年月日: 平成9年8月29日 / 結論: その他
一 教科用図書の検定に当たり文部大臣が原稿記述に訂正、削除又は追加などの措置をした方が教科用図書としてより良くなるものとして指摘する改善意見は、これに応ずることを合格の条件とはせず、文部大臣の助言、指導の性質を有するものであって、これを付することは、教科用図書の執筆者又は出版社がその意に反してこれに服さざるを得なくなる…