一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日において弁論を終結するに際し、裁判長が法廷において判決言渡期日を指定し、これを告知する方法としてその言渡をしたときは、当事者に対してその効力を生じ、更に右期日に出頭すべき旨の呼出状を送達することを要しない。 二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又は地上権の存在を否定する等弁済を受領しない意思が明確であるため地上権者が言語上の提供をするまでもなく地代債務の不履行の責を免れるという事情がある場合には、土地所有者は、みずから受領拒絶の態度を改め、以後地代を提供されればこれを確実に受領すべき旨を明らかにしたのち相当期間を経過したか、又は相当期間を定めて催告をしたにもかかわらず地上権者が右期間を徒過した等、自己の受領遅滞又はこれに準ずる事態を解消させる措置を講じたのちでなければ、民法二六六条一項、二七六条に基づく地上権消滅請求の意思表示をすることができない。
一 当事者双方不出頭の口頭弁論期日における弁論終結の際の判決言渡期日指定の告知 二 土地所有者が地代の受領を拒絶し又はこれを受領しない意思が明確であるため地上権者において提供をするまでもなく債務不履行の責を免れる事情にある場合と民法二六六条一項二七六条に基づく地上権消滅請求
民訴法190条2項,民訴法207条,民法266条1項,民法276条
判旨
土地所有者が地上権の存在を否定し地代の受領を拒絶している場合、地上権者は提供をせずとも履行遅滞の責を免れる。この状況で消滅請求をするには、所有者は受領拒絶の態度を改めて受領の意思を明らかにする等の措置を講じる必要がある。
問題の所在(論点)
土地所有者が地上権の存在を否認し地代の受領を拒絶している場合において、地上権者が地代を支払わないことは民法276条の消滅請求事由にあたるか。また、所有者が消滅請求を行うために必要な措置は何か。
規範
1. 債権者が契約の存在を否定し、弁済を受領しない意思が明確であるときは、債務者は口頭の提供をせずとも債務不履行の責を免れる。 2. 民法276条(地上権消滅請求)の要件である「二年以上引き続き地代の支払を怠つたとき」には、地上権者の責に帰すべき事由があることを要する。 3. 地上権者が免責されている状況下で、所有者が消滅請求を行うには、受領拒絶の態度を改めて確実に受領する旨を明らかにし、その後相当期間を経過するか、催告を行うなどして、自己の受領遅滞(またはそれに準ずる事態)を解消させる措置を講じなければならない。
事件番号: 昭和23(オ)44 / 裁判年月日: 昭和23年12月14日 / 結論: 棄却
一 債務者が弁済のため現金を債権者方に持参してその受領を催告すればこれを債権者の面前に提示しなくても、現実に弁済の提供をしたものとみるのが相当である。 二 債権者が予め弁済の受領を拒み、たとえ債務者が言語上の提供をしてもこれを受領しないことが明白な場合には、債務者は、言語上の提供をしなくても、履行遅滞の責を負わない。
重要事実
本件土地の所有権を取得した被上告人と、法定地上権を取得した上告人A1らの事案。当初、地代の合意が成立し一部支払われたが、その後、被上告人が土地の明渡請求訴訟(前訴)を提起し、地上権の存在を否認した。上告人A1は地代を提供したが被上告人は受領を拒絶。前訴は休止満了により取り下げとみなされたが、その後の本訴においても被上告人は依然として「不法占拠」を主張して明渡を求め、予備的にのみ地代不払を理由とする地上権消滅請求を行った。
あてはめ
被上告人は前訴において地上権の存在を否認して明渡を求めており、受領拒絶の意思は明確であったといえる。前訴が休止満了となった事実のみで受領拒絶の態度を変更したとは断定できず、むしろ本訴でも当初「不法占拠」を主張し、消滅請求の通知書面でも地上権を否認していた。このような状況では、上告人らは提供をせずとも履行遅滞の責を免れていたと解される。したがって、被上告人が自ら受領遅滞を解消する措置(受領の意思を明確に示す等)を講じない限り、単なる地代の不払を「責に帰すべき事由」がある不払と評価することはできず、消滅請求は認められない。
結論
土地所有者が受領拒絶の態度を解消させる措置を講じていない限り、地上権消滅請求は有効とは認められない。
実務上の射程
借地借家法上の建物賃貸借における賃料不払解除の法理(最判昭45・8・20)を地上権消滅請求の場面にも準用したもの。答案上は、債務不履行全般における「受領拒絶と履行遅滞」の関係として整理し、276条の「支払を怠つた」という要件を「帰責事由がある不払」と限定解釈する際の根拠として用いる。
事件番号: 昭和40(オ)386 / 裁判年月日: 昭和40年10月22日 / 結論: 棄却
第三者が賃借土地上の建物を取得した場合でも、賃貸人が賃借権の譲渡を承諾しないうちに土地賃貸借契約が賃料不払により解除されたときは、右第三者は、建物買取請求権を有しない。
事件番号: 昭和42(オ)1066 / 裁判年月日: 昭和43年8月2日 / 結論: 棄却
取立払の定のある賃料について、増額請求を受けた賃借人が、賃貸人の一箇月分の賃料の取立にさいしてその全額の支払を拒絶し、その後引続き適正額の賃料の支払をも拒絶する態度を示している等判示事実関係のもとにおいては、賃貸人が客観的に適正とされる額によつて五年分の賃料を自己の住所へ持参して支払うよう催告し、催告期間内に賃借人の住…
事件番号: 昭和30(オ)846 / 裁判年月日: 昭和33年2月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】債務が存在しないことを知りながら任意に弁済を行った場合、民法705条の非債弁済に該当し、不当利得返還請求権は否定される。公定賃料を超過する賃料の支払いであっても、支払義務がないことを認識していれば同条が適用される。 第1 事案の概要:賃借人(上告人)は、賃貸人との間において約定の賃料を支払う旨の契…
事件番号: 昭和42(オ)1075 / 裁判年月日: 昭和43年2月23日 / 結論: 棄却
法定地上権の地代確定訴訟の係属中、右法定地上権が譲渡され、その後右訴訟の判決が確定した場合においては、その譲受人は、右判決によつて譲渡人と地主との間で確定された右譲受当時の地代を、譲受の時に遡つて支払うべき義務を負うものと解すべきである。