従前の土地の一部を譲り受けた後、所有権移転登記未了の間に、特別都市計画法第一三条による換地予定地の指定があつたからといつて、その後右譲渡部分につき分筆並びに所有権移転登記手続を訴求すべき法律上の利益がないとはいえない。
換地予定地指定前の一部譲渡を原因として従前の土地の分筆並びに所有権移転登記手続を求める訴と訴の利益。
特別都市計画法(昭和21年法律19号)13条,特別都市計画法(昭和21年法律19号)14条,民訴法第2編第1章(223条以下)
判旨
換地予定地の指定があった場合でも、従前の土地の所有者は処分権を失わないため、従前の土地についての分筆および所有権移転登記を求める訴えの利益は失われない。
問題の所在(論点)
換地予定地の指定がなされた後において、従前の土地についての分筆および所有権移転登記手続を求める訴えの利益(民事訴訟法上の利益)が認められるか。換地予定地の指定が従前の土地の「処分権」に及ぼす影響が問題となる。
規範
土地区画整理法に基づくいわゆる換地予定地の指定があった場合、従前の土地の所有者は、原則として換地予定地について使用収益権を取得し、従前の土地についての使用収益権を失う。しかし、従前の土地の所有者は、本換地の処分がなされるまでは従前の土地の処分権を喪失するものではない。したがって、従前の土地の全部又は一部を譲渡し、これについて移転登記をなすことは妨げられないため、当該登記手続を訴求する利益も存する。
重要事実
本件土地につき換地予定地の指定がなされた。原告(上告人)は、換地予定地指定前に既になされていた従前の土地の譲渡に基づき、被告に対し、従前の土地についての分筆および所有権移転登記手続を求めて提訴した。これに対し原審は、換地予定地の指定がある以上、従前の土地についての登記手続を求めることは無益であり、訴の利益がないとして請求を排斥したため、上告人が上告した。
事件番号: 昭和28(オ)847 / 裁判年月日: 昭和30年6月24日 / 結論: 棄却
一 一筆の土地全部の所有権移転登記手続を求める請求において、その土地の一部につき「分筆の上」所有権移転登記手続をなすべき旨の判決をしても、「申立テザル事項ニ付判決ヲ為シ」たことにはならない。 二 一筆の土地の一部といえども、売買の目的とすることをうべく、その部分が具体的に特定しているかぎりは、右部分につき分筆手続未了前…
あてはめ
換地予定地の指定は、あくまで使用収益の対象を一時的に移動させる処分であり、権利の客体そのものを確定させる本換地処分とは異なる。本件において、所有者は使用収益権こそ制限されるものの、依然として従前の土地の処分権を保持している。そうであれば、譲渡済みの土地について登記を備えることは、物権変動の対抗要件を具備する上で法的必要性があり、無益なものとはいえない。したがって、移転登記手続を求める法律上の利益は否定されないと解される。
結論
換地予定地の指定後であっても、従前の土地についての分筆および所有権移転登記手続を求める訴えの利益は認められる。
実務上の射程
土地区画整理事業施行中の土地取引において、従前の土地の登記名義を整理しておく必要性を認めた実務上重要な判断である。答案上は、訴えの利益の有無が争われる場面で、権利の処分可能性が残存していることを理由として肯定側に立つ際に用いる。
事件番号: 昭和37(オ)1410 / 裁判年月日: 昭和39年2月13日 / 結論: 棄却
所有権転移仮登記の権利者が、仮登記後所有権取得登記を経た第三者に対し、右登記の抹消登記手続を請求した場合、裁判所が、仮登記に基づく本登記手続につき承諾を命ずる判決をしても、民訴法第一八六条に違反しない。
事件番号: 昭和33(オ)26 / 裁判年月日: 昭和34年7月2日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】売買の予約の成立を認めるためには、その前提となる事実について証拠に基づき合理的に認定する必要があり、供述内容が予約ではなく本契約の成立を指している場合には、予約の成立を認めることはできない。 第1 事案の概要:被上告人(原告)が上告人(被告)から土地200坪を単価140円で購入したと主張し、売買一…
事件番号: 昭和37(オ)393 / 裁判年月日: 昭和41年11月25日 / 結論: 棄却
売主所有の土地について指定された換地予定地の一部を目的物として売買契約が成立した場合において、その契約の成立にいたるまでの経緯および右目的物に関し原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、同契約に基づき買主の取得する当該土地所有権移転請求権については、いわゆる選択債権に関する民法の規定を類推適用すべきであ…
事件番号: 昭和34(オ)1150 / 裁判年月日: 昭和37年6月7日 / 結論: 棄却
判決における事実および争点の摘示は、弁論を経た係争事実で判決をするのに必要なものを明らかにすれば足りる。