当事者の意思に基く届出を欠いた婚姻については、第三者もその利益があるかぎり無効確認の訴を提起し得べく、右第三者が当該婚姻届出書類を偽造した本人であるからといつてこれを別異に解すべきではない。
婚姻無効確認の訴を提起し得べき第三者。
民法742条,旧民法(昭和22年法律222号による改正前のもの)78条,人事訴訟手続法2条2項
判旨
当事者の意思に基づかない婚姻は、民法742条により無効である。第三者であっても、その無効を確認するにつき利益を有する限り、婚姻届出書類を偽造した本人であっても無効確認を請求することができる。
問題の所在(論点)
当事者の意思に基づかない婚姻届出につき、当該書類を偽造した本人(第三者)が婚姻無効確認の訴えを提起することについて、確認の利益が認められるか、またその地位が制限されないか。
規範
当事者の意思に基づかない届出による婚姻は無効であり、第三者であっても確認の利益を有する限りその無効を確認することができる。また、当該第三者が婚姻届出書類を偽造した本人である場合であっても、信義則等によりその訴えが制限されることはなく、無効確認を求めることが妨げられない。
重要事実
亡Dの実父である被上告人が、Dの婚姻は本人の意思に基づかない無効なものであるとして、婚姻無効の確認を求めて提訴した。なお、被上告人は当該婚姻の届出書類を自ら偽造した本人であった。Dは婚姻届出当時、戦地に在り、届出の事実を全く関知していなかったことが認定されている。
あてはめ
まず、被上告人は婚姻当事者たる亡Dの実父であるから、婚姻の成否によって相続関係等に影響を受ける立場にあり、婚姻無効の確認を求める利益を有することは明らかである。次に、当事者の意思を欠く婚姻が無効であることは民法742条の明文に基づく客観的事実であり、届出書類を偽造した本人であっても、法的な利害関係がある以上、身分秩序の適正を維持する観点から無効を主張することは許される。
結論
被上告人による婚姻無効確認の請求は認められる。婚姻届出書類を偽造した本人であっても、確認の利益がある限り、無効確認を請求することは妨げられない。
実務上の射程
婚姻の無効は公序に関わるため、信義則による制約を受けにくいことを示した判例。答案では、確認の利益(人事訴訟法上の原告適格等)や、身分関係における信義則の適用の可否が問題となる場面で、当事者以外の第三者からの訴えを肯定する論拠として活用できる。
事件番号: 昭和34(オ)774 / 裁判年月日: 昭和36年3月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】婚姻予約の解消に際し不履行の場合の慰謝料額をあらかじめ定めることは、直ちに公序良俗に反するものではなく、その合意が当事者の同意に基づき、金額が過大でなければ有効である。 第1 事案の概要:上告人と被上告人は、婚姻予約の解消に際して調停を行い、慰謝料として26万円を支払う旨の約定を成立させた。この約…
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合意により協議離婚届書を作成した一方の当事者が、届出を相手方に委託した後、協議離婚を飜意し、右飜意を市役所戸籍係員に表示しており、相手方によつて届出がなされた当時、離婚の意思を有しないことが明確であるときは、相手方に対する飜意の表示または届出委託の解除の事実がなくとも、協議離婚届出が無効でないとはいえない。