一、 受取人白地の為替手形を引渡により譲り受け、その所持人となつた者は、同時に白地補充権をも取得する。 二、 受取人白地の為替手形が引渡により譲渡された場合にも、手形法第一七条の適用がある。
一、 受取人白地の為替手形の引渡による譲渡と白地補充権 二、 受取人白地の為替手形の引渡による譲渡と手形法第一七条の適用の有無
手形法10条,手形法17条
判旨
受取人白地手形が交付により転々と譲渡された場合、所持人は白地補充権を承継取得し、当該譲渡については手形法17条が類推適用される。
問題の所在(論点)
受取人白地手形が裏書によらず単なる引渡(交付)によって譲渡された場合において、(1)譲受人は白地補充権を取得するか、(2)手形法17条による人的抗辯の切断が認められるか。
規範
1. 受取人の記載のない白地手形に引受署名がなされ流通に置かれた場合、当該手形の交付を受けた者は引渡によって他人に譲渡でき、その譲受人は白地補充権を同時に取得する。 2. 白地手形が引渡によって譲渡された場合には、白地裏書がなされた場合と同様、手形法17条(人的抗辯の切断)が適用される。
重要事実
上告人は、受取人を白地としたまま本件手形に引受署名を行い、これが流通に置かれた。被上告会社は、訴外Eから引渡によって本件手形を取得した。上告人は、被上告会社に対し、補充権の不存在や権利濫用、および原因関係上の抗辯(物品引渡の未履行)をもって対抗しようとした。
あてはめ
(1) 被上告会社は引渡によって本件手形の所持人となっており、これに伴い白地補充権も取得しているため、補充権行使が濫用である等の主張は当たらない。(2) 被上告会社の代表者は、手形取得当時、満期までに原因関係上の義務(物品引渡)が履行されると信じていた。したがって、取得時に債務者を害することを知って手形を取得した(手形法17条但書)とはいえず、害意は認められない。よって、人的抗辯は切断される。
結論
被上告会社は適法に補充権を取得しており、かつ害意がないため、上告人は原因関係上の抗辯をもって被上告会社に対抗することはできない。
実務上の射程
白地手形の転々譲渡における補充権の承継と人的抗辯の切断(手形法17条の類推適用)を認めた重要判例である。答案上は、白地手形の譲受人が無権利者からの取得ではないことを示す際に「交付による補充権の承継」を論じ、抗辯の遮断を論じる際に本判例を根拠として17条を適用・類推適用する。
事件番号: 昭和44(オ)967 / 裁判年月日: 昭和45年2月17日 / 結論: 棄却
白地手形を喪失し除権判決を得た者は、手形債務者から手形の再発行を得て白地を補充したうえ請求するのであれば格別、除権判決を得たことのみを主張して手形金の支払を求めることはできない。