建物の賃借権に附随して使用収益を認められた建物敷地は、自作農創設特別措置法第一五条第一項第二号により買収することができる。
建物の賃借権に附随して使用収益を認められた建物敷地といわゆる附帯買収の許否
自作農創設特別措置法15条
判旨
建物賃借人は、その賃借権の内容である使用収益に必要な範囲限度で、従属的にその敷地を使用収益できるため、自作農創設特別措置法に基づき建物とともにその敷地の買収申請をすることが可能である。
問題の所在(論点)
建物の賃借人が、自作農創設特別措置法15条1項2号に基づき、建物とともにその敷地の買収申請をすることができるか、すなわち建物賃借権に敷地の使用収益権が従属しているかが問題となった。
規範
建物の賃借人は、当該建物の使用収益という賃借権の主たる目的を達成するために必要な範囲内において、その従属的な権利として、建物の敷地を使用収益する権限を有する。
重要事実
上告人は建物を賃借していた者であり、自作農創設特別措置法15条1項2号に基づき、賃借している建物だけでなく、その敷地についても買収の申請を行った。これに対し、敷地の買収申請権の有無が争点となった。
あてはめ
事件番号: 昭和26(オ)559 / 裁判年月日: 昭和28年7月7日 / 結論: 破棄差戻
副業として農業を営むにすぎない者の申請に基き、その者が賃借権を有する宅地建物をいわゆる附帯買収する買収計画は、特別の事情のないかぎり違法である。
建物賃借権は、建物の利用を目的とするものであるが、建物の利用には必然的にその敷地の利用を伴う。したがって、賃借権の内容である使用収益に必要な範囲限度であれば、敷地の使用収益は賃借権に従属するものと解される。本件において、買収申請の対象となった敷地が建物の使用収益に必要不可欠な範囲内にあるといえるならば、当該規定による申請が認められる。
結論
建物賃借人は、建物とともにその敷地についても買収申請をすることができる。本件上告は棄却された。
実務上の射程
建物の利用に伴う敷地利用権の法的性質(従属性)を認めた点に意義がある。司法試験においては、借地借家法上の建物賃借権の効力が敷地に及ぶ範囲や、不法占拠者に対する妨害排除請求の可否を論じる際の基礎理論として活用できる。
事件番号: 昭和26(オ)214 / 裁判年月日: 昭和28年12月18日 / 結論: 破棄差戻
昭和二四年六月法律第二一五号による自作農創設特別措置法の改正前においても、右改正によつて加えられた同法第一五条第二項に該当する事情のある場合は、同条第一項によるいわゆる附帯買収の申請を相当と認めることができない。
事件番号: 昭和26(オ)903 / 裁判年月日: 昭和28年6月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法15条1項2号に基づく宅地の附帯買収が認められるためには、当該宅地が売渡農地の経営に必要であることが必要である。この「必要」性の判断においては、全農地の経営における売渡農地の重要度や法の目的に照らし、耕作農家の地位安定に適合するか否かを基準とすべきである。 第1 事案の概要:農…
事件番号: 昭和26(オ)922 / 裁判年月日: 昭和29年2月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自作農創設特別措置法に基づく宅地等の附帯買収は、売渡農地と密接不可分の関係にあることを要せず、当該農地の耕作のために必要と認められる限り適法である。また、このような買収は公共の福祉の必要から行われるものであり、憲法29条に違反しない。 第1 事案の概要:上告人が所有する本件宅地について、行政庁が自…
事件番号: 昭和27(オ)556 / 裁判年月日: 昭和28年12月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】小作調停により成立した農地賃貸借の合意解除は、その成立に至った事情に照らして適法かつ正当と認められる限り、有効である。 第1 事案の概要:本件係争田地に関する賃貸借について、当事者間で小作調停が行われた。その結果、当該調停において賃貸借を合意解除する旨の合意が成立した。上告人は、当該合意解除が適法…