土地およびその上に生立する立木をともに買い受けた者が、土地につき所有権取得登記をしたときは、たとえその後立木につき前所有者のため、保存登記がなされても、この登記は無効である。
地盤について所有権移転登記がなされた後に、立木についてなされた保存登記の効力
民法177條,立木ニ關スル法律1條,立木ニ關スル法2條
判旨
立木とその地盤が同一人の所有に属する場合、地盤の所有権移転登記を備えれば、立木についてもその所有権取得を第三者に対抗できる。後になされた立木の保存登記およびこれに基づく競落による移転登記は、既に備えられた対抗要件に優先できず無効となる。
問題の所在(論点)
立木と地盤が同一人に属する状態で一括譲渡された場合、地盤の移転登記のみで立木の所有権取得を第三者に対抗できるか。また、その後に具備された立木独自の公示方法(保存登記)の効力が問われた。
規範
立木とその地盤とが同一人の所有に属するときは、立木の所有権は地盤の所有権に包含され、両者は一箇の土地所有権の目的となる。したがって、立木と地盤の所有権を同時に移転する場合、土地所有権の移転登記をなせば、地盤のみならず立木についても、その所有権の取得を第三者に対抗できる。
重要事実
被上告人は、昭和4年12月、立木とその地盤の所有権を同時に譲り受け、同月23日に地盤について所有権移転登記を経た。その後、昭和5年9月に至り、訴外Dが当該立木について立木法に基づく保存登記をなし、上告人がDに対する強制競売手続において本件立木を競落し、所有権移転登記を経た。被上告人は、上告人に対し、自己が立木の所有者であることを主張して争った。
事件番号: 昭和39(オ)231 / 裁判年月日: 昭和40年2月23日 / 結論: 棄却
処分禁止の仮処分の登記後に仮処分債務者から第三者に対し所有権の移転登記がされた場合において、仮処分債権者は、債務者との本案訴訟において実体法上の権利の存することを確定しないかぎり、単に仮処分債権者たる地位に基づいて、右第三者に対し、右実体法上の権利を主張して、前記所有権の移転登記の抹消登記を請求することはできない。
あてはめ
被上告人は地盤の移転登記により、地盤と一体をなす立木の所有権についても対抗要件を具備したといえる。その後の訴外Dによる立木保存登記は、既に対抗要件を備えた権利につき重ねてなされた無効な登記である。したがって、Dは当時所有権を有しておらず、これに基づく上告人の競落も有効な所有権取得とは認められない。上告人の移転登記は事実に合致しない無効なものであると解される。
結論
地盤の移転登記によって立木の対抗要件も備わっているため、被上告人は立木の所有権取得を上告人に対抗できる。上告人は立木の所有権を有効に取得できない。
実務上の射程
土地とその上の未分離の立木が同一所有者に属する場合、土地登記が立木の公示を兼ねるという原則(土地一体性の原則)を確認した判例である。民法177条の対抗問題として整理する際、立木が独立の不動産(立木法や明認方法)として扱われていない局面では、土地の登記が立木に及ぶ範囲を判断する基準として活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)1078 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 破棄差戻
乙が甲から不動産を買い受けて登録を経ないうち、丙が甲から右不動産を買い受けて登記をなし、これをさらに丁に売り渡して登記を経たため、乙がその所有権取得を丁に対抗することができなくなつた場合において、丙がその買受当時甲乙間の売買の事実を知つていたというだけでは、丙は乙に対し不法行為責任を負うものではない。
事件番号: 昭和36(オ)356 / 裁判年月日: 昭和37年3月23日 / 結論: 棄却
諸般の証拠を総合してある事実を認定するにあたり、その用に供せられた証人の供述中に認定事実に反する趣旨の部分が存在する場合でも、その部分を証拠として採用しなかつた旨判文上明示する必要はなく、その供述内容と判文の認定事実とを対照して、どの部分を採用し、どの部分を排斥したものであるかが了知できれば足りる。
事件番号: 昭和37(オ)396 / 裁判年月日: 昭和40年10月12日 / 結論: 棄却
第一審判決主文に民訴法第一九四条にいう明白な誤謬がある場合、控訴裁判所が控訴棄却の判決をするにあたり判決の理由中に理由を示し主文において右誤謬を更正しても違法ではない。