換地予定地に指定されただけでは、当然にはその土地の占有権の変動移転を生ずるものではない。
換地予定地の指定と占有権移転の有無
民法180条,特別都市計画法14条
判旨
特別都市計画法に基づく換地予定地の指定通知を受けた者は、当該土地を使用収益すべき本権を取得するが、従来の事実上の占有状態に変更がない限り、当然には占有権を取得しない。
問題の所在(論点)
換地予定地の指定通知を受けたことによって、当該土地に対する事実上の支配(占有)が開始される前であっても、法律上当然に占有権を取得するか(民法180条、旧特別都市計画法14条)。
規範
換地予定地の指定は、指定された土地を使用収益する権利(本権)を付与する効果を有するにとどまり、従来の事実上の占有状態に変更が生じない限り、法律上当然に占有権が移転または発生するものではない。
重要事実
上告人は、特別都市計画法14条に基づき本件土地の換地予定地指定通知を受けた。その後、上告人は当該土地の一部に木柵を設置しようとしたが果たせず、逆に被上告人らが当該土地への移動を完了させた。上告人は、指定通知によって占有権を取得したと主張して、被上告人らに対して請求を行った。
事件番号: 昭和33(オ)763 / 裁判年月日: 昭和35年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強制執行により建物の占有を取得した者が、その直後に占有を侵奪された場合、占有回収の訴え(民法200条1項)によってその回復を求めることができる。 第1 事案の概要:被上告人は、昭和28年10月12日、執行力ある和解調書に基づく明渡しの強制執行により、本件三室の占有を取得した。しかし、上告人はその直…
あてはめ
上告人は換地予定地の指定通知を受けており、当該土地を使用収益できる本権を取得したといえる。しかし、占有権は事実上の支配を要件とする(民法180条)。本件では、上告人が木柵を立てようとしたものの及ばず、立入禁止の標示等によって事実上土地を占有した事実は認められない。したがって、従来の事実上の占有状態に変更があったとはいえず、指定通知のみをもって占有権を取得したとは認められない。
結論
換地予定地の指定通知のみでは占有権は発生せず、上告人の請求は認められない。
実務上の射程
行政処分によって使用収益権という「本権」が発生する場合であっても、占有権の成立には民法上の原則通り「事実上の支配」が必要であることを示した。土地区画整理法における換地予定地の指定についても同様の理が妥当し、占有回収の訴え等の要件検討において重要な示唆を与える。
事件番号: 昭和29(オ)306 / 裁判年月日: 昭和29年11月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】占有回収の訴え(民法200条)が認められるためには、従前の占有者の事実的支配が完全に排除され、占有が侵奪者に全面的に移転したといえることが必要である。 第1 事案の概要:上告人と被上告人の間で係争地の支配を巡る争いがあった。上告人は、被上告人に対して占有回収の訴えを提起したが、原審(判決文からは詳…
事件番号: 昭和27(オ)1293 / 裁判年月日: 昭和29年10月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】土地所有者は、特別都市計画による換地予定地の指定がなされたとしても直ちに土地の所有権を失うものではなく、依然として当該土地の不法占拠者に対して明渡しを請求することができる。 第1 事案の概要:土地所有者である原告が、被告による土地の不法占拠に対し、所有権に基づき当該土地の明渡しを求めた。これに対し…
事件番号: 昭和28(オ)80 / 裁判年月日: 昭和30年10月28日 / 結論: 棄却
都市計画法および特別都市計画法による区画整理の施行に際し、土地所有者または関係者は、特定の土地を換地または換地予定地として、指定すべきことを要求する権利を有しない。