一 控訴審においても訴の変更は許される。 二 控訴審において訴の変更を許すことは、憲法三二条に違反しない。 三 家屋明渡の請求原因として、当初所有権に基く不法占拠を予備的請求として期間満了による賃貸借の終了を主張し、その後これを全部撤回して借地権の無断譲渡を理由とする契約解除による賃貸借の終了を主張しても、右請求原因の変更は請求の基礎には変更がない。
一 控訴審における訴の変更の拒否 二 控訴審における訴の変更と憲法三二条 三 請求の基礎に変更のない請求原因変更の一事例
民訴法232条(378条)
判旨
控訴審における訴の変更は、民事訴訟法の規定により準用される範囲内で適法であり、請求の基礎に変更がなく、かつ訴訟手続を著しく遅滞させない限り認められる。また、控訴審での訴の変更を許容することは、審級の利益を不当に奪うものではなく憲法32条に違反しない。
問題の所在(論点)
控訴審において、請求原因を全面的に差し替える態様の「訴の変更」が許されるか。また、それが憲法32条(裁判を受ける権利)に違反しないか。
規範
控訴審においても、第一審の手続を準用する規定(現行民事訴訟法297条、旧378条)に基づき、訴の変更の規定(現行143条、旧232条)が準用される。したがって、①請求の基礎に変更がなく、かつ②著しく訴訟手続を遅滞させない限り、控訴審における訴の変更は適法である。
重要事実
被上告人は第一審で、被告(上告組合)に対し、建物の所有権に基づく不法占拠、および賃貸借契約の期間満了を理由に建物の返還を求めていた。控訴審において、被上告人はこれら従来の請求原因を撤回し、新たに「賃借権の無断譲渡」を理由とする解除に基づく返還請求へと変更した。上告人は、控訴審での訴の変更は許されず、憲法32条に違反すると主張して争った。
あてはめ
本件では、第一審と控訴審のいずれにおいても「本件建物の賃貸借契約の終了を原因としてその返還を求める」という点において共通している。このため、請求の基礎には変更がないと認められる(①充足)。また、原審において当該変更が訴訟手続を著しく遅滞させるものではないと判断されている(②充足)。さらに、憲法32条との関係についても、控訴審で訴の変更を認めることは同条に違反しない(判例の趣旨)。
結論
控訴審における訴の変更は適法であり、憲法32条にも違反しない。
実務上の射程
控訴審における訴の交換的変更が「請求の基礎」の同一性を維持する範囲内であれば適法であることを示した。答案上では、控訴審での新請求の追加や差し替えが審級の利益(三審制)を害さないかという論点に対し、準用規定と請求の基礎の同一性を根拠に肯定する際の論拠として使用する。
事件番号: 昭和31(オ)342 / 裁判年月日: 昭和32年5月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】建物の賃貸借において、解約申入れに正当事由があると認められるか否かは、認定された事実関係を総合的に考慮して判断される。本件では、原審が認定した諸般の事情に基づき、解約申入れに正当事由があると判断したことは相当である。 第1 事案の概要:本判決文からは具体的な事案の詳細は不明であるが、被上告人(賃貸…
事件番号: 昭和49(オ)453 / 裁判年月日: 昭和49年9月20日 / 結論: 棄却
控訴審において債務承継人に対し訴訟の引受を命ずることは、憲法三二条に違反しない。