商法第一二条は、第三者相互の間においては適用ない。
商法第一二条と第三者相互間における適用の有無
商法12条
判旨
会社の清算人から動産を買い受けた者が、会社以外の第三者に対して所有権を主張する場合、清算人の選任登記が未了または不備であっても、旧商法12条(現行商法9条1項等)の適用はなく、当該第三者に対して所有権を対抗できる。
問題の所在(論点)
有効に選任された清算人から財産を譲り受けた者が、登記の不備がある場合に、会社以外の第三者に対して所有権を対抗できるか。旧商法12条(登記の対抗力)の「第三者」の範囲が問題となる。
規範
商法(旧商法12条、現行商法9条1項等)の登記の対抗力に関する規定は、登記当事者が登記すべき事項をもって「第三者」に対抗する場合を規定したものである。したがって、会社の清算人から目的物を譲り受けた者が、会社以外の第三者(不法占有者等)に対して権利を主張する場合には、同条の適用はなく、登記の有無にかかわらず権利主張が可能である。
重要事実
D合名会社の解散および清算人の選任は、残存総社員の一致により有効になされた。しかし、解散登記の申請人として死亡社員の氏名が併記される不備があった。被上告人(原告)は、当該清算人から動産を買い受け、その後、第三者である上告人(被告)に対して当該動産の所有権を主張した。
あてはめ
本件における解散および清算人選任は実体法上有効であり、登記に死亡社員の名が併記されていたとしてもその効力は妨げられない。また、商法の登記に関する規定は、会社(登記義務者)と取引関係等に立つ第三者との間の対抗関係を規律するものである。本件の被上告人は清算人から譲渡を受けた者であり、上告人は会社とは直接の関係がない外部の第三者である。このような関係においては、登記の有無や不備は対抗要件として機能しないため、実体上の権利移転に基づき所有権を主張できる。
結論
清算人選任登記の効力にかかわらず、被上告人は上告人に対し動産の所有権を主張することができる。
実務上の射程
登記の対抗力の「第三者」について、登記義務者である会社等と対立する関係にある者に限定する趣旨を示す。取引の安全を図るための不実登記免責(現行9条2項等)とは異なり、権利を承継した者が会社以外の第三者に権利を主張する場面では、会社法上の登記は対抗要件にならないことを確認する際に活用できる。
事件番号: 昭和27(オ)291 / 裁判年月日: 昭和30年3月17日 / 結論: 棄却
賃借している土地が、昭和二〇年勅令第六三六号土地工作物使用令第一一条によつて進駐車が接収使用中のものであつても、賃借人は賃貸借の登記があるか、またはその土地の上に登記した建物を有しない限り、その賃借権をもつて土地の新取得者に対抗できない。