附帯買収が相当であるためには買収の目的となるべき宅地と解放農地との間に利用上密接な牽連関係がなければならないとし、右牽連性を欠くことの基準として原審が認定した事実(原判決理由参照)は、附帯買収を相当としないことの基準となるものではない。
いわゆる附帯買収の目的となるべき宅地と解放農地との間に利用上密接な牽連関係がない場合と附帯買収の相当性
自作農創設特別措置法15条
判旨
自創法15条1項2号による宅地の買収は、必ずしも買収農地と立地上密接従属の関係にあることや、従来から附属地として利用されていた事実を要しない。
問題の所在(論点)
自創法15条1項2号に基づく宅地の買収要件として、当該宅地と買収農地との間に「利用上の密接な牽連関係」があることが必要か、またその判断基準がいかなるものか。
規範
自創法15条1項2号による買収が認められるには、買収農地の経営上必要な宅地であれば足りる。当該宅地が買収農地と立地上密接従属の関係にあることや、従前から農地の経営上附属地として利用されてきたという事実関係は、買収の要件ではない。ただし、同条2項の除外事由がある場合や、従前からの農地経営に比して買収農地の面積が著しく少ない場合など、買収を相当としない特段の事情がある場合はこの限りではない。
重要事実
自創法15条1項2号に基づき、農地の経営上必要として宅地が買収された。原審は、当該宅地が農地から徒歩10〜15分を要する場所に散在していること等の事実を挙げ、買収には「解放農地との間に利用上密接な牽連関係」が必要であるとして、本件買収を不相当(無効)と判断した。
あてはめ
買収の有効性は、単に農地経営上の必要性によって判断されるべきである。原審が基準とした「徒歩10分乃至15分を要する場所に散在する」といった立地上の距離的・場所的関係は、利用上の密接な牽連関係を否定する根拠にはなり得ても、直ちに同条による買収を不相当とする基準とはならない。本件では、同条2項の除外事由の有無や買収の相当性を判断すべき判例の基準に従った審理がなされていない。
結論
買収農地の経営上必要であれば、立地上の密接な関係がなくても買収は可能である。原判決は解釈を誤っており、差戻しを免れない。
実務上の射程
行政処分における要件解釈の射程を示す。法令に定めのない「密接な牽連関係」といった付加的な要件を課して処分の効力を否定することは法の解釈を誤るものとされる。本判決は、目的達成(農地経営の維持)のための必要性を中心に据え、地理的な近接性は決定的な要件ではないことを明らかにしている。
事件番号: 昭和27(オ)436 / 裁判年月日: 昭和32年1月31日 / 結論: 棄却
同一村内における住所の移転は自作農創設特別措置法第六条の二にいう住所の移転にあたる。