定款に記載された現物出資およびその履行が真実有効になされたかどうかは、人証その他一般の証拠から判定し得るのであつて、必ずしも会社設立のため作成された書類のみによつて決定しなければならぬものではない。
現物出資およびその履行の有無と判定の資料
商法168条1項5号
判旨
株式会社の設立における現物出資は、定款に記載されることが効力発生要件であるが、株式申込証等の定款以外の書類への記載は要件ではなく、その記載が欠けていても現物出資の効力は否定されない。
問題の所在(論点)
株式会社の設立時において、定款には現物出資の記載があるものの、株式申込証等の定款以外の書類にその記載がない場合、当該現物出資の効力が認められるか。また、現物出資の履行の有無を認定するにあたり、設立関係書類のみに拘束されるべきか。
規範
現物出資は定款に記載しなければその効力を生じない(変態設立事項の厳格な規制)。しかし、定款以外の書類(株式申込証等)に記載することは現物出資の有効要件ではない。したがって、現物出資の引受および履行が真実なされたか否かは、会社設立に関連する書類の記載のみならず、一般の証拠法則に従い、諸般の証拠によって認定することができる。
重要事実
D計算器株式会社の設立に際し、上告人は定款の定めに従い、本訴物件をもって現物出資を行うこととし、その履行を完了した。一方で、株式申込証等の定款以外の書類には当該現物出資に関する記載が欠けていた。上告人は、設立関係書類の記載がないことを理由に、現物出資の事実を否定し、全額金銭出資による払い込みがなされたと主張して争った。
事件番号: 昭和26(オ)113 / 裁判年月日: 昭和27年5月2日 / 結論: 破棄差戻
調停により取得した不動産の二分の一の共有持分権に基く分割請求権があることを原因として提起した共有物分割請求訴訟において、その請求を棄却した確定判決の既判力は、判決の理由において、共有権の存否につき判断をしている場合であつても、右の調停により共有持分権を取得したかどうかの点までは及ばない。
あてはめ
本件では、定款に本訴物件による現物出資の旨が記載されており、変態設立事項としての適法な形式を備えている。株式申込証等にその記載を欠くとしても、それは有効要件ではないため、直ちに現物出資の効力が否定されるものではない。事実認定においても、証拠法則に基づき、人証やその他の諸証拠を総合すれば、上告人が現物出資の履行を終えた事実は十分に認められる。したがって、書類上の不備を理由に現物出資の不存在をいう上告人の主張は採用できない。
結論
定款に現物出資の記載がある以上、他の書類に記載がなくても現物出資は有効であり、その履行の事実は諸般の証拠により認められる。上告人の請求(または主張)は認められない。
実務上の射程
会社法上の変態設立事項(現物出資等)の有効要件が定款記載にあることを再確認するものである。答案上では、定款記載を欠く現物出資が原則無効であることの裏返しとして、定款記載さえあればその他の事務手続き上の不備(申込証の不備等)は現物出資自体の効力を左右しないという論理で活用できる。
事件番号: 昭和37(オ)1068 / 裁判年月日: 昭和39年11月17日 / 結論: 棄却
答弁書たる標題を掲げた書面であつても、請求の趣旨に対する反対申立の記載を含まないものは、通常の準備書面と同じく、法定の印紙の貼用を要しない。
事件番号: 昭和28(オ)533 / 裁判年月日: 昭和31年1月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】当事者が明示的に事実を主張していない場合であっても、証拠の申出や弁論の全趣旨から、その事実を主張する意思が認められるのであれば、裁判所は当該事実を認定して判決の基礎とすることができる。 第1 事案の概要:上告人が被上告人に対し請求を行った事案において、被上告人は解除権の留保およびこれに基づく契約解…
事件番号: 昭和39(オ)53 / 裁判年月日: 昭和39年11月27日 / 結論: 棄却
記録簿から抜き書きしたうえこれに説明を加えた書面は、それ自体が書証原本として提出されたものであるかぎり、証拠とするにさまたげない。