一 市議会の議決の無効確認を求める訴は原則として不適法である。 二 市議会議員であるというだけでは、市長が建設大臣および知事に対してした建築許可、認可の申請および右申請に基く許可、認可について、無効確認を求める訴の利益を有しない。
一 市議会の議決無効確認を求める訴の適否 二 市長が建設大臣及び知事に対してした建築許可、認可の申請および右申請に基く許可、認可について市議会議員の無効確認を求める訴の利益
行政事件訴訟特例法1条,民訴法223条
判旨
市議会の議決は市の内部的意思決定に過ぎず、機関相互間の権限争いは法律に特別の定めがない限り「法律上の争訟」に当たらない。また、市の外部的行為に対しても、議員や住民であるという立場だけでは直ちに取消し等を求める法的利益を享受しない。
問題の所在(論点)
1. 市議会の議決の無効確認を求める訴えが、裁判所法3条1項の「法律上の争訟」に該当するか。2. 市議会議員または市民であるという地位に基づき、行政庁への申請や許可等の効力を争う法的利益が認められるか。
規範
1. 地方公共団体の機関相互間の権限の争いは、法人格を有する主体間の権利義務に関する争いとは異なり、原則として「法律上の争い」として訴訟の対象にはならない。例外的に、法律が内部的解決を不適当として訴訟を認めている場合に限り、司法審査の対象となる。2. 行政庁による許可・認可等の効力を争うためには、単なる第三者ではなく、自己の法律上の利益を害される特別の事情(訴えの利益)が必要である。
重要事実
上告人らはD市議会の議員であり、市議会がなした議決の不存在または無効確認、および市長が当該議決に基づいて建設大臣等に対して行った許可・認可の申請等の無効を求めて提訴した。上告人らは、議員として市長の執行を監視する義務があることや、市民としての立場から訴えの利益を主張した。
事件番号: 昭和29(オ)913 / 裁判年月日: 昭和31年9月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】市議会が行った決議の無効確認を求める訴えは、裁判所法3条にいう「法律上の争訟」に当たらず、訴訟要件を欠く不適法なものとして却下されるべきである。 第1 事案の概要:上告人は、B市議会がなした議決について、その無効確認を求めて出訴した。第一審裁判所は、当該請求が「法律上の争訟」に当たらないこと、およ…
あてはめ
1. 市議会の議決は市の内部的意思決定にとどまり、市長等の執行機関との関係は内部的な機関相互の関係である。地方自治法176条5項のような特別の規定がない限り、司法審査の対象外である。2. 市長による許可申請等は市と国等の間の関係であり、上告人らは議員としての参画権はあるものの、法的に保護された独自の利益を侵害される「特別の事情」がない。議員の監視義務や住民の立場は、法的な訴えの利益を構成しない。
結論
本件各訴えは、法律上の争訟性を欠くか、または訴えの利益を欠くため、不適法として却下されるべきである。
実務上の射程
「機関訴訟」の法定性を示す重要判例である。地方自治法上の機関相互の紛争が司法審査に馴染むかを判断する際、まず「内部的問題」か「権利義務の争い」かを区別し、内部問題であれば個別法上の特例規定の有無を検討する流れで引用する。また、原告適格(法的利益)の一般論としても活用される。
事件番号: 昭和26(オ)584 / 裁判年月日: 昭和29年2月11日 / 結論: 棄却
村議会の予算議決の無効確認を求める訴は不適法である。
事件番号: 昭和36(オ)66 / 裁判年月日: 昭和38年12月10日 / 結論: 棄却
弁護士会の綱紀委員会がした懲戒に付するを相当とする旨の決議およびこれに基づいて弁護士会が同会の懲戒委員会に対してなした懲戒審査請求の無効確認の訴は不適当である。
事件番号: 昭和31(オ)267 / 裁判年月日: 昭和33年7月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確認の訴えが許されるためには、原告の地位にある法律上の不安を除去するために当該確認判決を得ることが即時確定の利益を有し、かつ適切な手段であることを要する。建物明渡訴訟を提起されている被告が、当該訴訟の前提問題にすぎない原告法人の設立の効力を別訴で争うことは、即時確定の利益を欠き許されない。 第1 …
事件番号: 昭和36(オ)818 / 裁判年月日: 昭和37年12月11日 / 結論: 棄却
土地区画整理法第一八条は、土地区画整理組合設立認可を申請しようとする者は、定款及び事業計画について、区域内の権利者の一定数の同意を得べき旨を規定するに止まり、区域内のすべての権利者に参加を求め、その同意を求め、あるいは、右すべての者に定款、事業計画の周知を計らなかつたからといつて、認可申請ないし認可処分の違法はきたさな…