訴訟代理権の有無は、それが問題となる当該訴訟においてこれを審判すべきであり、またそれをもつて足るのであり、別訴を提起して訴訟代理権の存否の確認を請求することは、確認の利益を欠き許容し得ない。
訴訟代理権の存否につき別訴で確認を求めることの許否
民訴法225条
判旨
別個の訴訟事件における訴訟代理権の存否について確認の訴えを提起することは、当該判決が当該訴訟において裁判所や当事者を拘束する効力を持たないため、確認の利益を欠く。
問題の所在(論点)
特定の訴訟事件における訴訟代理権の存否を確認の訴えの対象とすることに、確認の利益が認められるか。
規範
確認の訴えが適法であるためには、確認判決を得ることが原告の法的地位に現存する不安・危険を解消するために有効かつ適切であること(確認の利益)を要する。特に、別個の訴訟手続における訴訟要件や代理権の存否といった事項は、原則として当該訴訟手続内で審理・判断されるべきものであり、独立して確認の対象とする必要性や有効性を欠く。
重要事実
上告人は、別個の訴訟事件(別件)において訴訟当事者Dを代理している被上告人らに対し、当該別件における訴訟代理権を有しないことの確認を求めて本件訴えを提起した。上告人は別件において第三者の立場にあった。
あてはめ
まず、本件で代理権不在の確認判決を得たとしても、その判決の効力は別個の訴訟事件(別件)の裁判所や当事者を拘束するものではない。次に、訴訟代理権の有無という事項は、それが問題となっている当該訴訟手続において審理・判断されるべき事柄であり、かつ、それで十分である。したがって、本件のような確認判決を求めても、別件における代理権の存否を確定させる手段として有効適切とはいえない。
結論
本件訴えは確認の利益を欠き、不適法である。
実務上の射程
訴訟状態や訴訟要件など、他の訴訟手続に付随する事項を独立した確認の訴えの対象とすることは原則として許されないという趣旨。確認の利益の「方法の相当性」が否定される典型例として、答案上は確認の対象の選択が不適切である旨を論述する際に引用する。
事件番号: 昭和39(オ)76 / 裁判年月日: 昭和41年6月28日 / 結論: 棄却
一 復代理人を選任しえない場合に、原審が復代理人が適法に選任されたと判断したことは違法であるが、原判示事実関係(原判決理由参照)に照らせば、代理人が復代理人としてではなく自己の代理人を選任したものと解する余地があり、右代理人の代理人について代理人のため、また、代理人について本人のため、順次民法第一一〇条の表見代理が成立…
事件番号: 昭和33(オ)441 / 裁判年月日: 昭和36年11月30日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】訴訟委任の当時、本人に意思能力が欠如していた場合には、委任状が作成されていても有効な訴訟委任とは認められず、上告代理権の欠缺として上告は不適法となり却下される。 第1 事案の概要:本件の上告人は、上告代理人弁護士を選任する旨の委任状を作成していた。しかし、職権による調査の結果、上告人は当該委任状の…
事件番号: 昭和39(オ)554 / 裁判年月日: 昭和42年2月10日 / 結論: 棄却
合資会社の社員が、他の社員を相手方として、同社員が同会社の無限責任社員ではないことならびに同会社から利益分配を受ける権利、退社のとき持分払戻を受ける権利および解散のとき残余財産の分配を受ける権利を有しないことの確認を求める訴は、即時確定の利益を欠き、不適法である。