原決定正本が第三者方に設置してある抗告代理人の事務所に送達され、抗告代理人が右第三者から原決定正本を受領したのは、原決定に対する抗告申立期間経過後であつたとの事由は、不変期間不遵守について当事者の責に帰することができないものとは認められない。
不変期間不遵守の事由が当事者の責に帰することのできないものとは認められない一事例
民訴法159条
判旨
最高裁判所に対する抗告申立期間は、民事訴訟法に基づき5日であり、代理人の事務所に送達された決定を本人が受領するのが遅れたという事情は、訴訟行為の追完が認められる「責めに帰することができない事由」には当たらない。
問題の所在(論点)
最高裁判所に対する抗告申立期間の遵守の有無、および代理人事務所に送達された決定の現実の受領が遅れたことが、訴訟行為の追完を認めるべき「当事者の責めに帰することができない事由」に該当するか。
規範
最高裁判所に対する抗告申立期間は、民事訴訟法の規定(旧民訴法419条の2、現行330条等参照)に基づき5日の不変期間とされる。また、懈怠した訴訟行為の追完が認められるためには、当事者がその責めに帰することができない事由によって不変期間を遵守できなかったことが必要である。
重要事実
大阪高等裁判所が昭和25年6月3日になした決定は、同月9日に抗告人の代理人事務所(便宜上D方に設置)へ送達された。しかし、抗告状が提出されたのは同月19日であり、送達の日から5日の抗告期間を経過していた。抗告代理人は、Dから決定正本を現実に受領したのが同月17日であったことを理由に、訴訟行為の追完を申し立てた。
事件番号: 昭和26(ク)49 / 裁判年月日: 昭和26年6月14日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告申立ての期間は、民事訴訟法上の特別抗告の規定に従い、裁判の送達を受けた日から5日以内である。この期間を経過した後の抗告申立ては不適法として却下される。 第1 事案の概要:抗告人は、東京高等裁判所が昭和26年3月16日にした決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。当該決定は同…
あてはめ
本件において、原決定は昭和25年6月9日に抗告代理人の事務所に有効に送達されている。抗告期間は不変期間であり、送達の日から起算して5日以内に抗告を提起すべきであった。代理人が便宜上設置した事務所において、補助者等から正本を受け取るのが遅れたという事情は、単なる内部的な管理の問題にすぎない。これは、客観的にみて「当事者の責めに帰することができない事由」によって期間を遵守できなかったものとは認められない。
結論
本件抗告は、5日の不変期間を経過した後に提起されたものであり、追完の理由も認められないため、不適法として却下される。
実務上の射程
最高裁への特別抗告や許可抗告の申立期間(現行法でも5日)の厳格性を確認する際や、追完における「責めに帰することができない事由」の狭隘な解釈を示す際の根拠となる。代理人に対する送達の効力と、その後の事務処理の遅延が救済の対象外であることを論証する際に有用である。
事件番号: 昭和25(ク)84 / 裁判年月日: 昭和25年9月29日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、法律により特に許された場合に限り認められ、民事事件においては憲法違反の判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するか否かについてなされた判断を…
事件番号: 昭和25(ク)142 / 裁判年月日: 昭和25年12月25日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許された場合に限られ、民事事件においては憲法違反の判断を不当とする特別抗告のみがこれに該当する。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案であるが、その抗告理由は、原決定において法律、命令、規則又は処分が憲法に適合する…
事件番号: 昭和28(ク)258 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、特別抗告(旧民訴法419条の2、現行336条)の場合に限られ、抗告理由は憲法違反の判断の不当性に限定される。 第1 事案の概要:抗告人が最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。本件の抗告理由は、原決定における憲法適合性の判断を不当とするもの(旧…
事件番号: 昭和26(ク)88 / 裁判年月日: 昭和26年9月7日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告申立ての期間は、民事訴訟法上の特別の定め(現行の許可抗告制度等に相当)に基づき、送達を受けた日から5日以内であると解される。 第1 事案の概要:東京高等裁判所が昭和26年4月27日に下した決定が、同年5月12日に抗告人へ送達された。抗告人は本件決定を不服として最高裁判所に対し…