労働組合法第一四条にいわゆる署名とは、みずから自己の氏名を書くことをいい記名捺印を含まない。
労働組合法第一四条にいわゆる署名の意義
労働組合法(昭和24年法律174号)14条
判旨
労働組合法14条にいう「署名」とは、自ら自己の氏名を書く自署を指し、記名押印をもってこれに代えることはできない。
問題の所在(論点)
労働組合法14条に規定される労働協約の成立要件としての「署名」の意義、および記名押印をもってこれに代えることができるか。また、自署を要求することが憲法28条(団体交渉権)に抵触しないか。
規範
労働組合法14条が労働協約の成立要件として書面の作成及び「署名」を規定した趣旨は、労働協約の内容の確実性を保持することにある。したがって、同条にいう「署名」とは、自ら自己の氏名を書くこと(自署)を意味し、記名押印をもってこれに代えることはできないと解すべきである。また、このように解しても団体交渉そのものを制限することにはならないため、憲法28条には違反しない。
重要事実
労働組合と使用者(またはその団体)との間で労働条件等に関する合意がなされたが、作成された書面には、当事者の自署ではなく、記名押印(あらかじめ氏名が印字・記載されたものに印鑑を押すこと)しかなされていなかった。この書面による労働協約が、労働組合法14条の定める有効要件を充たしているか否かが争点となった。
事件番号: 昭和24(ク)32 / 裁判年月日: 昭和26年8月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】憲法25条は国家の国政上の責務を規定したものであり、国民に具体的権利を付与したものではない。また、解雇等による事実上の就業不能は、憲法22条1項の保障する職業選択の自由を侵害するものではない。 第1 事案の概要:抗告人は、Bの従業員としての地位等に関し、仮処分申請を行ったが、原審において却下された…
あてはめ
労働組合法14条は、労働協約が強行的な規範的効力を有することに鑑み、その内容を明確にし紛争を防止する「確実性の保持」を目的としている。記名押印は本人の意思に基づく作成であることを担保する手段としては機能するものの、文言上「署名」とある以上、最も確実性の高い「自署」を要求していると解される。本件において、当事者が記名押印のみを行い自署を欠いている事実は、同条の形式的要件を欠いているといえる。この厳格な形式要求は、合意内容を明確化するための合理的な制約であり、団体交渉の自由を不当に制限するものとは評価されない。
結論
労働組合法14条の「署名」に記名押印は含まれないため、自署を欠く本件書面は労働協約としての効力を生じない。
実務上の射程
本判決は、労働協約の成立要件(要式性)を厳格に解釈したリーディングケースである。答案上は、労働協約の規範的効力(16条)が発生しているかを検討する際、前提となる14条の有効要件の有無で活用する。ただし、現在は「署名」だけでなく「記名押印」でも有効とするよう法改正がなされている点(現行労組法14条)に注意が必要であり、本判決の法理は当時の条文解釈としての射程に留まる。もっとも、要式性の趣旨(確実性の保持)という視点は、現行法下の解釈においても依然として重要である。
事件番号: 昭和26(ク)114 / 裁判年月日: 昭和27年4月2日 / 結論: その他
一 報道機関が、その従業員を共産党員またはその支持者たることを理由として解雇した場合には、その解雇は、昭和二五年七月一八日付連合国最高司令官より内閣総理大臣あて書簡による指示に従つたものとして有効である。 二 報道機関が、その従業員を、共産党員またはその支持者たることを理由として解雇した場合には、その解雇の効力に関する…
事件番号: 昭和25(ク)65 / 裁判年月日: 昭和27年7月4日 / 結論: 却下
労使双方の合意に基き、就業規則中に「就業規則の改正は労働組合との協議によつて行う」旨定めた場合であつても、特段の事情のないかぎり、その協議を経ないでした右規則の改正を無効とはいえない。
事件番号: 昭和26(ク)75 / 裁判年月日: 昭和26年6月26日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法上特に許容された場合に限られ、民事事件においては憲法違反を理由とする特別抗告のみが認められる。 第1 事案の概要:抗告人は、何らかの民事事件の決定に対し、最高裁判所へ抗告を申し立てた。しかし、その抗告理由は、原決定に憲法違反があることを主張するもの…