一 開港港則施行規則第一〇条の「汽船防波堤ノ入口ニ於テ出会ノ虞アルトキ」とは、入港船が出港船を見て入口において出会うかも知れないと予測されるときの意味であつて、入口において出会つたかどうかの結果によつて遡つて判断すべきものではない。 二 機船底曳網漁業に従事する発動機附帆船は、開港港則施行規則第一四条及び第四五条にいう雑種船ではない。
一 開港港則施行規則第一〇条の「汽船防波堤ノ入口ニ於テ出会ノ虞アルトキ」の意義 二 機船底曳網漁業に従事する発動機附帆船は開港港則施行規則第一四条及び第四五条にいう雑種船か
開港港則施行規則10条,開港港則施行規則14条,開港港則施行規則45条
判旨
開港港則施行規則10条にいう「防波堤の入口」における「出会の虞」は、結果論ではなく事前の予測可能性により判断すべきであり、また同規則上の「雑種船」の範囲は、航行の安全と便宜の観点から限定的に解釈される。
問題の所在(論点)
1.開港港則施行規則10条における「入口において出会の虞」の判断基準および「入口」の範囲。2.機船底曳網漁業に従事する小型漁船が同規則上の「雑種船」に該当するか否か。
規範
1.開港港則施行規則10条の「防波堤の入口において出会の虞あるとき」とは、入港船が出港船を視認し、入口で出会う可能性があると予測される状態を指し、実際の衝突地点等の結果から遡って判断すべきではない。また、同条の「入口」は厳格な意味に限定されない。2.同規則14条・45条の「雑種船」は、港内を主として運航する小型船舶に避譲義務を課す趣旨であるから、汽艇とは主として港内を運航する小型汽船を指し、例外的に列挙された漁船の範囲を拡張解釈して一般の小型漁船を含めるべきではない。
重要事実
出港船D丸(底曳網漁業の発動機付帆船)と入港船E丸が、港の防波堤付近で衝突した。E丸側は、衝突地点が防波堤から150メートル離れており「入口」ではないこと、またD丸が「雑種船」に該当するためE丸を避ける義務(同規則14条)を負っていたと主張して、裁決の当否を争った。
あてはめ
1.E丸は衝突以前に防波堤入口で出会う虞を予見して処理すべきであったから、実際の衝突地点が防波堤から離れていても同条の義務を負う。2.D丸は、港内を主として運航する小型汽船(汽艇)ではなく、また同条に特掲された「烏賊釣船」等にも当たらない一般の小型漁船である。港内の安全と通航の便宜を考慮する同規定の趣旨に照らせば、D丸を雑種船に含めるべき理由はない。
結論
E丸には入港船としての避譲義務があり、D丸は雑種船に該当しないため避譲義務を負わない。したがって、上告人の主張は認められない。
実務上の射程
行政法における裁決の適法性判断や、海難事故の過失認定における規範解釈として活用できる。特に「法令の文言を規定の趣旨(安全確保と運航の便宜)から目的論的に解釈する手法」は、海事法規以外の行政規則の解釈全般に応用可能である。
事件番号: 昭和59(行ツ)65 / 裁判年月日: 昭和61年12月19日 / 結論: 棄却
航路が定められている港の防波堤の入口又は入口附近において航路を航行して入航しようとする汽船が出航しようとする汽船と出会う虞のある場合は、右出航船が法令の定める航法に違反して航路外を航行した後航路外から航路に入つて出航しようとしているときであつても、右入航船は港則法一五条所定の避航義務を免れない。
事件番号: 昭和32(オ)817 / 裁判年月日: 昭和36年4月28日 / 結論: 棄却
一 裁判官の通常の知識により認識し得べき推定法則は、その認識のためとくに鑑定等の証拠調を要するものではない。 二 互に航路を横切る両船が「衝突ノ虞アル」見合関係にあるとは、当該両船の船長が実際に衝突の危験を認めた関係にあることをさすものではなく、注意深い船長が注意していたとすれば衝突の危険があるものと認むべき関係にある…