臨時農地等管理令第七条ノ二に基く地方長官の許可を得ない農地の売買契約であつても、それが農地を耕作の目的に供するためになされ、かつ昭和二一年一〇月二一日法律第四二号をもつて改正された農地調整法施行当時すでに農地の引渡またはその所有権移転登記のいずれかが完了している場合には、その売買契約は有効である。
臨時農地等管理令第七条ノ二違反の農地売買契約の効力
臨時農地等管理令7条ノ2,農地調整法(昭和20年法律64号により改正のもの)5条,農地調整法(昭和20年法律64号により改正のもの)6条3号,農地調整法(昭和21年法律42号により改正前のもの)4条,農地調整法(昭和21年法律42号により改正前のもの)附則2項
判旨
臨時農地等管理令上の許可を欠く農地の売買であっても、昭和21年改正農地調整法の施行前に耕作目的で契約が締結され、かつ引渡し又は登記のいずれかが完了している場合には、同法附則2項の趣旨に照らし、当該売買は有効である。
問題の所在(論点)
臨時農地等管理令7条の2所定の許可を得ずに締結された農地の売買契約が、昭和21年改正農地調整法の施行前に引渡しを完了している場合に、有効と認められるか。同法附則2項の解釈が問題となる。
規範
臨時農地等管理令7条の2に基づく地方長官の許可を欠く農地売買の効力について明文の規定はない。しかし、昭和21年改正農地調整法附則2項が、法施行前に耕作目的で所有権取得契約がなされ、かつ引渡し又は所有権移転登記の一方が完了しているものについて改正規定(許可なき所有権移転を無効とする規定)を適用しないとした趣旨は、当該要件を満たす場合には許可を欠くときであっても契約の効力を認める点にあると解するのが相当である。
重要事実
被上告人は、昭和20年3月17日、上告人から本件物件(田1筆、畑3筆の農地を含む)を買い受け、同年5月5日にその引渡しを受けた。被上告人は、これらの農地を耕作の目的に供するために買い受けたものである。しかし、当該売買について、当時の臨時農地等管理令7条の2に基づく地方長官の許可は得られていなかった。上告人は、許可を欠くことを理由に売買契約の無効を主張した。
事件番号: 昭和25(オ)312 / 裁判年月日: 昭和26年2月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】民事上告事件の特例法に基づく上告において、各号の事由に該当せず、かつ法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却する。 第1 事案の概要:上告人が民事上告事件の特例法に基づき上告を申し立てたが、その主張内容が同法1号ないし3号の事由に該当するか、あるいは法令解釈上の重要性を持つかが争…
あてはめ
本件において、被上告人は昭和21年10月21日の改正農地調整法施行前に、本件農地を「耕作の目的」で買い受けており、かつ昭和20年5月5日に「引渡しが完了」している。これは、同法附則2項が予定する、法の遡及適用を制限し取引の安全を図るべき要件を満たす。したがって、臨時農地等管理令上の許可がなかった事実は、当該売買の効力を左右しないと評価される。
結論
本件売買契約は有効であり、許可の欠如を理由とする無効主張は認められない。
実務上の射程
農地法成立以前の旧法下における判断であるが、強行法規違反の効力を検討する際、後法の経過措置(附則)の趣旨から前法の違反行為の効力を補完的に解釈する手法として参考になる。また、農地売買における許可の要否と効力の関係を論じる歴史的・体系的背景として位置づけられる。
事件番号: 昭和35(オ)38 / 裁判年月日: 昭和36年10月13日 / 結論: 棄却
一 会社更生法による更生手続中に会社代表取締役によつて締結された売買契約は、更生手続が廃止された以上その効力を主張できる。 二 株式会社の重要な財産の譲渡であつても、株主総会の特別決議を経ることを要しない。
事件番号: 昭和41(オ)975 / 裁判年月日: 昭和43年10月18日 / 結論: 破棄差戻
譲渡担保が暴利行為により公序良俗に違反するかどうかの判断に当つては、特段の事情のないかぎり、その契約により担保される債権の額とその譲渡担保の対象となつた全物件の価格を比較すべきである。
事件番号: 昭和28(オ)1115 / 裁判年月日: 昭和30年3月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法定代理人である後見人から不動産の処分につき代理権を授与された復代理人が、その後代理人として売買契約を締結した場合、その売買の効果は本人に帰属する。 第1 事案の概要:上告人の法定代理人である後見人Eは、訴外Dに対し、本件不動産の処分に関する代理権を授与した。Dは、昭和23年2月20日、後代理人と…
事件番号: 昭和45(オ)890 / 裁判年月日: 昭和46年2月25日 / 結論: 棄却
抵当権の実行のための競売開始決定が所有者に対して送達されないかしがあつても、競落許可決定が確定すれば、右かしを理由として同決定の無効を主張することは許されない。