一 会社更生法による更生手続中に会社代表取締役によつて締結された売買契約は、更生手続が廃止された以上その効力を主張できる。 二 株式会社の重要な財産の譲渡であつても、株主総会の特別決議を経ることを要しない。
一 会社更生法による更生手続中に会社代表取締役によつて締結された売買契約の更生手続廃止後における効力。 二 株式会社の重要財産の譲渡について株主総会の特別決議を要するか。
会社更生法56条1項,会社更生法53条,商法245条1項
判旨
更生手続開始後に会社がした法律行為は、手続廃止後は有効となり、また、会社の重要財産の処分であっても、それが営業譲渡に当たらない限り、株主総会の特別決議を欠いても無効とはならない。
問題の所在(論点)
1. 更生手続開始後に代表取締役が行った処分行為の効力は、手続廃止後どのように解されるか。2. 営業譲渡に当たらない「重要財産の処分」に株主総会の特別決議が必要か。
規範
1. 会社更生法上の更生手続開始後に会社が行った法律行為は、更生手続の関係においてその効力を主張できないにとどまり(相対的無効)、手続が廃止されれば有効となる。2. 株式会社において、たとえ売買の目的物が重要な財産であっても、それが事業の全部または重要な一部の譲渡(営業譲渡)に該当しない限り、株主総会の特別決議(商法245条1項1号、現行会社法467条1項1号・2号)を要せず、取締役の決定により有効に行い得る。
重要事実
更生手続開始決定を受け、管財人が選任されていたD株式会社において、同社の代表取締役Eが本件売買契約を締結した。その後、同更生手続は廃止された。上告人は、①本件契約は更生手続中に権限のない代表取締役が締結したため無効である、②本件売買の目的物は会社の重要財産であり、株主総会の特別決議を経ていないため無効である、と主張してその効力を争った。
事件番号: 昭和25(オ)365 / 裁判年月日: 昭和28年5月8日 / 結論: 棄却
臨時農地等管理令第七条ノ二に基く地方長官の許可を得ない農地の売買契約であつても、それが農地を耕作の目的に供するためになされ、かつ昭和二一年一〇月二一日法律第四二号をもつて改正された農地調整法施行当時すでに農地の引渡またはその所有権移転登記のいずれかが完了している場合には、その売買契約は有効である。
あてはめ
1. 会社更生法(当時)56条1項の規定によれば、手続開始後の行為は手続との関係で否認されるにすぎない。本件では更生手続が既に廃止されているため、同条による制限は消滅し、契約は有効と解される。2. 本件売買において営業譲渡を認めるに足りる証拠はなく、単なる財産の売買にとどまる。たとえその目的物が会社にとって重要な財産であったとしても、法律上の根拠がない以上、株主総会の特別決議を欠くことをもって直ちに無効とすることはできない。
結論
本件売買契約は有効であり、株主総会決議を経ていないことを理由とする無効主張は認められない。
実務上の射程
重要財産の処分(会社法362条4項1号)に関する取締役会決議を欠く行為の効力が問題となる事案において、株主総会決議(467条1項)が必要な「事業譲渡」との区別を論じる際の基礎となる判例である。「重要財産」であれば直ちに総会決議が必要になるわけではないことを明示している。
事件番号: 昭和32(オ)1102 / 裁判年月日: 昭和36年5月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】不動産の買受人は、売主が登記簿上の所有名義人であっても、当該売主が実体上の所有権を有しない場合には、善意・悪意を問わず、民法94条2項等の特別の規定がない限り、当該不動産の所有権を取得できない。 第1 事案の概要:上告人(買受人)は、本件建物の登記簿上の所有名義人である売主から建物を買い受けた。し…
事件番号: 昭和33(オ)738 / 裁判年月日: 昭和35年11月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】国税徴収法上の公売処分において、見積価額を記載した封書を公売場所に置くべき手続規定に違反があったとしても、その違法は公売処分を当然に無効とする程度の瑕疵とはいえない。 第1 事案の概要:税務署長が行った建物の公売処分において、見積価額が69万9000円と査定されていた。しかし、当時の施行規則23条…
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事件番号: 昭和35(オ)248 / 裁判年月日: 昭和36年4月21日 / 結論: 棄却
行政処分無効確認訴訟は国家賠償請求の目的で提起されたものであるからといつて、処分庁が右処分を取り消した後においても、なおその法律上の利益があるということはできない。