紛争のある土地であることを知りながら、最初から訴訟手段によつて権利を実行する考えでこれを買い受け、買受けと同時に訴訟準備をし、十一日目には仮処分申請をしたという事情にあり、しかも右買い受けにはいわゆる事件屋が関与していたからといつて、必ずしも法律事務取扱ノ取締ニ関スル法律第二条にいわゆる「他人ノ権利ヲ譲受ケ訴訟其ノ他ノ手段ニ依リ其ノ権利ノ実行ヲ為スコトヲ業」とするために買い受けたものということはできない。
「法律事務取扱ノ取締ニ関スル法律」第二条にあたらない場合
法律事務取扱ノ取締ニ関スル法律2条,弁護士法73条
判旨
他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段により権利実行することを「業」とする者が行う権利譲受行為は、弁護士法73条(旧法律事務取扱の取締に関する法律2条)に違反し無効である。ただし、実業を営む者がその事業の目的のために権利を買い受けた場合は、たとえ買受時に紛争を知り、直ちに訴訟準備を行ったとしても、同条にいう「業」としての譲受には当たらない。
問題の所在(論点)
紛争のある土地を事業目的で買い受け、直ちに訴訟を提起した行為が、弁護士法73条(旧法律事務取扱の取締に関する法律2条)に違反して無効となるか。「業とする」の意義と判断基準が問題となる。
規範
弁護士法73条(旧法2条)にいう「業とする」とは、反復継続して権利の譲受け・実行を行う意思をもって、営利の目的で同行為を行うことを指す。単に紛争のある権利を譲り受け、直ちに訴訟等の手段に及んだという事実のみでは足りず、当該主体の属性、権利取得の経緯、取得の主たる目的等を総合して、訴訟を目的とした不当な権利譲受(いわゆる事件屋的行為)といえるかを判断する。
重要事実
上告人は本件土地の転借人であると主張し、土地を譲り受けた被上告人に対し占有を継続していた。被上告人は製樽・製材業を営む会社であり、本件土地を材料置場とする目的で買い受けたが、買受時には紛争の存在を承知しており、買受後11日目には仮処分の申請を行うなど速やかに訴訟準備を開始した。上告人は、被上告人の行為が「他人の権利を譲り受けて訴訟等の手段によりその権利の実行をすることを業とする」行為に当たり、公序良俗に反し無効であると主張した。
あてはめ
被上告人は製樽および製材業を本業とする者であり、本件土地の買受けは「材料置場として使用する」という明確な事業目的を有していた。たとえ買受にあたって事件屋が関与し、紛争を予見した上で迅速な訴訟準備(仮処分申請等)を行っていたとしても、それは適法な権利取得に伴う正当な権利行使の準備に過ぎない。したがって、被上告人が反復継続の意思をもって、訴訟による利益獲得そのものを目的(業)として権利を譲り受けたものとは認められない。
結論
本件土地の譲受行為は弁護士法73条(旧法2条)に違反せず、有効である。上告人の主張は理由がない。
実務上の射程
弁護士法73条の違反が問題となる場面(債権回収代行や訴訟目的の債権譲渡)での抗弁として使用できる。実務上、権利譲受の目的が「本来の事業遂行のため」という正当な経済的合理性を持つ場合には、多少の訴訟活動が予定されていても同条違反には当たらないという限定的な解釈を示す判断枠組みとして重要である。
事件番号: 昭和23(オ)15 / 裁判年月日: 昭和24年9月10日 / 結論: 棄却
特別事情に基く仮処分の取消申立事件においては、仮処分債務者に特別事情があるかどうかだけを審理判断すればよいのであつて、仮処分債務者の実体上の権利の有効無効又はその権利が被保全権利に対抗し得るものであるかどうかの点について審理判断すべきではない。
事件番号: 昭和28(オ)72 / 裁判年月日: 昭和29年12月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利濫用の成否について、原審が認定した事実に基づき、権利の濫用を認めるべきでないとした原判決の判断を正当として維持したものである。 第1 事案の概要:上告人は、相手方の行為が権利濫用に該当すると主張して上告したが、具体的な事案の内容や原因となった紛争の詳細は本判決文からは不明である。原審(二審)は…