知事選挙と村長選挙とが同時に行われた場合には、道府県制施行令第一六条ノ四の証明書をもつて村長選挙に特別投票をさせても、その選挙が違法であるということはできない。
知事選挙と村長選挙とが同時に行われた場合に知事選挙のための特別投票者証明書で村長選挙に特別投票をさせた選挙の適否
道府県制19条ノ2,同制施行令16条ノ4第1項
判旨
不在投票において特定の選挙のための特別投票者証明書を、同日同所で行われる別の地方自治体選挙の資格証明に流用することは、投票を無効とするほどの瑕疵には当たらない。また、選挙事務に従事する職員の所属官公署の長は、実質的監督関係に基づき選挙管理委員会委員長と解するのが相当である。
問題の所在(論点)
1. 一の選挙のために発行された特別投票者証明書を、同日同所の別選挙の不在投票に流用することが許されるか。 2. 選挙事務に従事する公務員にとっての「所属官公署の長」は誰か。
規範
不在投票の有効要件のうち、特別投票者証明書の提出は、選挙権の存在および不在投票の適格性という絶対的要件を証明するための手段にすぎない。したがって、同日同所で同時に行われる複数の選挙において、一の選挙のための証明書を他の選挙の資格証明に役立てたとしても、証明の目的を達し得る限り、選挙を違法とし投票を無効ならしめる瑕疵とはならない。
重要事実
昭和22年4月15日の知事選挙および村長選挙において、茨城県筑波地方事務所の職員3名が、知事選挙用の特別投票者証明書のみを提出し、村長選挙用の証明書を提出せずに村長選挙の投票を行った。また、当該証明書は所属官署の長たる地方事務所長ではなく、選挙監視員を嘱託した茨城県会議員選挙管理委員会委員長により発行されていた。さらに、証明書には印章の相違や訂正印のない日付訂正等の形式的瑕疵が存在した。
事件番号: 昭和24(オ)321 / 裁判年月日: 昭和25年9月8日 / 結論: その他
一 権限のない者によつて選任せられた投票立会人の立会について、投票管理者が異義を述べなかつたからといつて、右の投票立会人が投票立会人としての資格を具有するに至るものと解することはできない。 二 ある村の選挙を全部無効とし改めて適法な手続によつて選挙をやりなおすにおいては、その村の属する選挙区における候補者の当落に異動を…
あてはめ
1. 知事選挙と村長選挙は別個の選挙であるが、同日同所で行われる以上、一の証明書によって不在投票資格の証明という目的は十分に達せられる。よって、別々の証明書を提出しなかったことは、投票を無効とするような重大な法規違反には当たらない。 2. 選挙事務は選挙管理委員会がつかさどるものであり、本件投票者は同委員会から選挙監視員を嘱託されていた。そうであれば、選挙事務に関する限り、その監督指揮を受ける選挙管理委員会委員長が「所属官公署の長」に当たると解するのが、新法の趣旨に合致する。
結論
本件各投票は有効であり、これに基づき行われた選挙に違法はない。
実務上の射程
不在投票制度における手続的要件(証明書の提出等)について、それが資格証明という目的を達している限り、形式的な不備があっても投票の効力を否定しないという寛容な姿勢を示す。また「所属官署の長」の解釈につき、職制上の所属よりも事務の性質に基づく実質的監督関係を重視する点に実務上の意義がある。
事件番号: 昭和33(オ)1002 / 裁判年月日: 昭和34年6月26日 / 結論: 棄却
公職選挙法第三四条第六項第五号の「少くとも七日前」とは、選挙期日の前日を第一日として逆算して七日目にあたる日以前を指すものと解すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)643 / 裁判年月日: 昭和28年5月7日 / 結論: 棄却
一 選挙長は、立候補届受理に際し、その者が公職選挙法第八九条に違反した候補者であるかどうかを審査する義務がない。 二 立候補届出期間経過後候補者を辞した者が公職選挙法第六八条第四項によつて再び候補者となることは違法ではない。
事件番号: 昭和31(オ)734 / 裁判年月日: 昭和31年10月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の自書式投票において、候補者の氏名の一部に誤記がある場合であっても、全候補者の氏名との照合により特定の候補者に対する投票の意思が客観的に認められるときは、当該投票は有効である。 第1 事案の概要:本件選挙において、ある投票用紙に記載された氏名の「氏」は「D」であり、「名」の二字のうち一…