公職選挙法第三四条第六項第五号の「少くとも七日前」とは、選挙期日の前日を第一日として逆算して七日目にあたる日以前を指すものと解すべきである。
公職選挙法第三四条第六項第五号の「少くとも七日前」の意味。
公職選挙法34条6項本文5号
判旨
公職選挙法上の「少なくとも七日前に」という期間の計算は、選挙期日の前日を起算日として逆算し、中七日の期間を置いたその前日を指すと解すべきである。また、公務員法上の兼職許可を欠く者が選挙管理委員として関与した選挙であっても、そのことのみをもって直ちに選挙が無効になるわけではない。
問題の所在(論点)
1. 公職選挙法34条6項5号(当時)の「少なくとも七日前に」という期間計算の解釈。 2. 選挙管理委員の選任手続や資格の瑕疵(兼職禁止違反)が、当該委員の関与した選挙の効力に及ぼす影響。
規範
1. 公職選挙法における「少なくとも七日前に」とは、選挙期日の前日を第一日として逆算し、七日目に当たる日の前日(逆算して八日目以前)に告示を行うことを要する。 2. 選挙管理委員が地方公務員法等の兼職制限に違反して選任・就任した場合であっても、当該違反は行政内部の責任問題を生じさせるにとどまり、当然に就任が当然無効となったり、当該委員の関与した選挙自体が無効となったりするものではない。
重要事実
本件選挙の期日は昭和33年1月13日であり、その告示は同月6日に行われた。上告人は、①この告示が「少なくとも七日前に」という法定期間を充足していないこと、②選挙管理委員長Dが地方教育公務員でありながら兼職の許可を得ずに就任しており、Dの関与した本件選挙は無効であること等を主張して、選挙の無効を訴えた。
あてはめ
1. 本件では、1月13日が選挙期日であるから、その前日の12日を起算日として逆算すると、7日目は1月6日となる。したがって「7日前」とはその前日である1月5日以前を指すとも考えられるが、判例は「7日目に当たる6日以前」であれば足りると解示し、6日の告示を有効とした。 2. Dが地方教育公務員として許可なく委員に就任した点については、地方公務員法違反としての責任追及は免れないものの、委員としての地位を当然に失わせるものではない。したがって、公務員法上の瑕疵は選挙という公法上の行為の効力を左右するものではないと判断される。
結論
本件選挙告示は適法な期間を置いてなされたものであり、また選挙管理委員の資格に関する瑕疵も選挙の効力に影響を及ぼさないため、本件選挙は有効である。
実務上の射程
期間の計算(中何日)に関する解釈の指針となる。特に「逆算」の概念を明確にした点に意義がある。また、選管委員の資格欠格等の行政上の瑕疵が、直ちに選挙という大量的な行政処分の効力を否定するものではないという「行為の有効性維持」の論理として、取消訴訟や無効確認訴訟のあてはめで活用できる。
事件番号: 昭和29(オ)67 / 裁判年月日: 昭和30年3月24日 / 結論: 棄却
公職選挙法第九〇条(昭和二九年一二月法律第二〇七号による改正前)の「申出の日以後五日に相当する日」とは、申出の日の翌日を起算日としてその後五日に相当する日と解すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)643 / 裁判年月日: 昭和28年5月7日 / 結論: 棄却
一 選挙長は、立候補届受理に際し、その者が公職選挙法第八九条に違反した候補者であるかどうかを審査する義務がない。 二 立候補届出期間経過後候補者を辞した者が公職選挙法第六八条第四項によつて再び候補者となることは違法ではない。