一 控訴状に貼付すべき印紙が不足していたとしても、その後その不足額の印紙が増貼された場合には、右補正前になされた弁論期日判決言渡期日の各指定及びその告知は、すべて有効である。 二 約一反歩の他人の宅地を数年来耕作してきた場合であつても、その宅地は所有者が後日自己の住家を建築するつもりで何人にも賃貸せず空地として残しておいたものであること、その後太平洋戦争が勃発するに及び次第に塀が壊されその一部に防空壕が造られたばかりでなく、勝手に蔬菜類を作るものもできたこと、また耕作者がこれを耕作するに際しても所有者の承諾を得ず、その耕作の状況は馬鈴薯畑約八十坪の外人参、ささぎ、牛蒡、胡瓜、葱、唐黍等の蔬菜園であつて、耕作者は農業会に加入せず、また土地は食糧供出の対象になつていないことの認められるような場合には、右土地は、普通の家庭菜園であつて農地調整法に定められた農地に該当するものとはいえない。
一 控訴状に貼付すべき印紙の不足している間になされた訴訟行為の効力。 二 農地調整法にいわゆる農地にあたらない事例。
民訴法228条,民事訴訟用印紙法11条,農地調整法2条1項
判旨
最初の口頭弁論期日の変更は、当事者の合意がない限り「顕著なる事由」を要し、第一審代理人が前日に受任したことや控訴状の印紙不足はこれに該当しない。また、耕作実態が家庭菜園の域を出ない土地は、農地調整法上の「農地」に該当しない。
問題の所在(論点)
1. 第一審から引き続き代理人を務める者が「前日に受任したこと」は、最初の弁論期日を変更すべき「顕著なる事由」に該当するか。 2. 控訴状の印紙不足を補正する前に進行した手続の有効性。 3. 特定の目的を持たない蔬菜栽培が行われている土地が、農地調整法上の「農地」に該当するか。
規範
1. 口頭弁論の最初の期日の変更は、当事者の合意がない場合には「顕著なる事由」があるときに限り許容される(旧民事訴訟法152条4項、現行93条3項参照)。 2. 農地調整法上の「農地」に該当するか否かは、土地の客観的な耕作状況、耕作の目的、耕作主体の属性等を総合して判断すべきであり、単なる家庭菜園の域を出ないものは農地に該当しない。
事件番号: 昭和24(オ)275 / 裁判年月日: 昭和26年6月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】前訴で確定した所有権確認判決の既判力は、その原因となった売買契約の無効を主張して所有権を争う後訴にも及ぶ。そのため、前訴の事実審口頭弁論終結前に存在した無効事由(強行法規違反・錯誤・認可欠缺等)を後訴で主張することは、既判力の遮断効により許されない。 第1 事案の概要:被上告人らが上告人を被告とし…
重要事実
控訴審において、上告人(控訴人)の代理人は最初の弁論期日の変更を申請した。その理由は、前日に訴訟委任を受けたため準備ができないというものであったが、当該代理人は第一審の訴訟代理人でもあった。また、相手方の同意は得られていなかった。原審は、控訴状に貼付すべき印紙が不足した状態で弁論を進行・結審したが、その後に印紙の補正命令を出し、瑕疵は解消された。さらに、本件土地の帰属に関連し、上告人が無断で耕作していた約一反歩の土地(馬鈴薯や蔬菜類を栽培)が「農地」に該当するかが争われた。
あてはめ
1. 代理人は第一審から引き続き本件に関与しており、準備ができないとの主張は正当な理由にならない。したがって、相手方の同意がない以上、顕著なる事由は認められず、期日変更を認めなかった原審の措置は適法である。 2. 控訴状の印紙不足は後に補正されたことで遡及的に治癒されるため、補正前になされた期日指定や告知等の手続も有効である。 3. 本件土地は、前所有者が将来の建築のために空地として管理し、賃貸を拒絶していたものである。上告人が無断で蔬菜類を栽培しているものの、農業会への加入や食糧供出の実績もなく、その状況は「普通の家庭菜園」に過ぎないため、農地調整法上の農地とは認められない。
結論
最初の期日変更を認めなかった原審の手続に違法はなく、また本件土地が農地に該当しないとした判断も正当であるとして、上告を棄却した。
実務上の射程
民事訴訟法上の期日変更の厳格な運用(特に当初期日の重要性)と、印紙不足等の形式的瑕疵が補正により治癒されることを確認する際に有用。また、農地性の判断において「家庭菜園」との区別基準を示しており、実質的な耕作実態を重視する実務指針となる。
事件番号: 昭和38(オ)311 / 裁判年月日: 昭和40年10月19日 / 結論: 棄却
現に耕作の目的に供されている土地であつても、不法に開墾されたものであり、開墾の経緯について原審が確定したような事情(原判決理由参照)があるときは、農地法第二条第一項にいう農地にあたらないと解するのが相当である。
事件番号: 昭和25(オ)365 / 裁判年月日: 昭和28年5月8日 / 結論: 棄却
臨時農地等管理令第七条ノ二に基く地方長官の許可を得ない農地の売買契約であつても、それが農地を耕作の目的に供するためになされ、かつ昭和二一年一〇月二一日法律第四二号をもつて改正された農地調整法施行当時すでに農地の引渡またはその所有権移転登記のいずれかが完了している場合には、その売買契約は有効である。
事件番号: 昭和27(オ)201 / 裁判年月日: 昭和30年1月21日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】民法110条の権限外の表見代理が成立するためには、原則として、行為当時において基本代理権が存在することを要する。過去に存在した代理権が消滅した後に権限外の行為が行われた場合は、同条を直接適用することはできない。 第1 事案の概要:上告人の復代理人Eは、上告人のために封鎖預金の解除払戻に関する代理権…
事件番号: 昭和42(オ)576 / 裁判年月日: 昭和43年11月19日 / 結論: 棄却
一、宗教法人が、宗教法人法第二四条本文に掲げる財産を処分するに当たつてした同法第二三条の公告が、その時期、期間などの点において、同条および右宗教法人の規則の定と相違する場合に、当該行為の効力を判断するに当たつては、公告によつて行為の要旨を信者その他の利害関係人に周知させ、不当な処分を防止しようとする同法の趣旨が維持され…