罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項による賃借の申出があつた場合には、賃貸借は、右申出によつて直ちに成立するのではなく、土地所有者がその申出を承諾するか又は同条第二項によりこれを承諾したものとみなされるときにはじめて成立する。
罹災都市借地借家臨時処理法第二条第一項による賃借の申出と賃貸借
罹災都市借地借家臨時処理法2条
判旨
罹災都市借地借家臨時処理法に基づく土地賃借の申出があった場合、土地所有者が承諾するか、または申出を受けた日から3週間の経過により承諾したものとみなされる時に初めて賃貸借契約が成立する。正当な事由のない拒絶であっても、申出と同時に直ちに賃貸借が成立するわけではない。
問題の所在(論点)
罹災都市借地借家臨時処理法2条に基づく土地賃借の申出がなされた場合、3週間の拒絶期間が経過する前であっても、賃貸借契約の成立を認めることができるか。
規範
罹災都市借地借家臨時処理法2条1項に基づく土地賃借の申出がなされた場合、同条2項により、土地所有者が申出を受けた日から3週間以内に拒絶の意思表示をしないときは、その期間満了の時に承諾したものとみなされる。したがって、賃貸借契約の成立時期は、①土地所有者が申出を承諾した時、または②申出から3週間の期間が満了した時のいずれかであり、申出と同時に直ちに契約が成立するものではない。
重要事実
空襲により建物が滅失した土地について、土地所有者から土地を使用させられていた被上告人(敷地使用者)らが、建物所有目的で土地所有者(上告人)に対し、訴訟の口頭弁論期日において賃借の申出を行った。原審は、当該申出があった当日(3週間の経過を待たず)に口頭弁論を終結し、正当な拒絶理由がない限り被上告人らは賃借権者になったと判断して、上告人の請求を棄却した。
あてはめ
本件において、被上告人らは口頭弁論期日に賃借の申出を行っているが、上告人がこれを直ちに承諾した事実は認められない。同法2条2項によれば、土地所有者に3週間の考慮期間を与えており、たとえ拒絶に正当な事由がない場合であっても、この3週間の期間満了を待たなければ承諾のみなし効力は生じない。原審は、申出の即日に口頭弁論を終結しており、承諾のみなしに必要な法定期間の経過を確認せずに賃貸借の成立を認めた点において、法の解釈を誤っているといえる。
結論
賃借の申出のみによって直ちに賃貸借が成立すると解することはできず、3週間の期間満了を待たずに賃借権の成立を認めた原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
形成権的効力を有する申出であっても、法律が一定の猶予期間(拒絶期間)を設けている場合には、その期間満了という適法な手続的要件を具備しなければ権利発生の効力は生じない。裁判所は口頭弁論終結時までの事実に基づき判断する際、期間満了という時間的要件の充足を厳格に確認すべきである。
事件番号: 昭和23(オ)15 / 裁判年月日: 昭和24年9月10日 / 結論: 棄却
特別事情に基く仮処分の取消申立事件においては、仮処分債務者に特別事情があるかどうかだけを審理判断すればよいのであつて、仮処分債務者の実体上の権利の有効無効又はその権利が被保全権利に対抗し得るものであるかどうかの点について審理判断すべきではない。