一 県会議員選挙と市会議員選挙とが同時に行われた場合でも、県会議員選挙の効力に関し異議のある者は、市選挙管理委員会にこれを申し立てるべきでなく、県選挙管理委員会に申し立てなければならない。 二 投票箱運送中に鍵が破損したため、投票が散乱した事実があつたとしても、それだけで直ちに選挙の公正が害されたものとし選挙を無効とすることはできない。
一 県会議員選挙の効力に関し異議を申し立てるべき選挙管理委員会。 二 投票箱運送中の事故による投票の散乱と選挙の効力。
地方自治法66条,地方自治法67条
判旨
選挙規定の違反があっても、選挙の結果に異動を及ぼす虞がない限り選挙は無効とならない。投票箱の破損により投票が一時散乱しても、速やかな回収と員数の一致が確認され、不正混入の事実がなければ、選挙結果に影響を及ぼす虞はないと解される。
問題の所在(論点)
投票箱の破損および投票の散乱という選挙規定違反(管理・運搬上の瑕疵)がある場合に、「選挙の結果に異動を及ぼす虞」があるとして、選挙を無効とすべきか。
規範
選挙の無効(公職選挙法205条1項等)を判断するにあたっては、選挙規定に違反した事実があったとしても、そのことによって「選挙の結果に異動を及ぼす虞」がない限り、選挙を無効としない。これは、選挙のやり直しが社会的に重大な影響を及ぼすことに鑑みた判断枠組みである。
重要事実
県議会議員および市議会議員選挙において、投票箱の運搬中に鍵が破損し、投票用紙が道路上に散乱する事故が発生した。現場では、約5分間のうちに選挙係員の手によって1票を除きすべて拾い集められ、元の投票箱に収容された。後に発見された1票についても管理者が封筒で密封し開票係に交付する適宜の措置がとられた。拾い集められた票数と残存票数、後置票の合計は実際の投票人員数と合致していた。
あてはめ
まず、散乱から回収までが5分程度と短時間であり、係員以外が投票に触れるなどの公正を害する具体的な事態は生じていない。次に、回収後の合計票数と投票人員数が合致しており、不正な投票の混入や紛失が客観的に否定されている。さらに、事後的に発見された1票の処理も、管理者が封印の上で受け渡すなど可能な限りの適宜の措置が講じられている。以上から、規定違反はあるものの、実質的に選挙の公正を損ない、当落の結果に影響を及ぼす蓋然性は認められない。
結論
本件事故によって選挙の結果に異動を及ぼす虞があったとは認められないため、選挙を無効とすべきとの主張には理由がなく、上告を棄却する。
実務上の射程
選挙無効の訴訟において、手続上の瑕疵と選挙結果の因果関係(結果異動の虞)を判断する際のリーディングケースである。特に「客観的な員数の一致」や「不正介入の機会の欠如」を認定することで、形式的な違反をあてはめ段階で排斥する際の論理構成として有用である。
事件番号: 昭和23(オ)131 / 裁判年月日: 昭和24年7月13日 / 結論: 破棄自判
【結論(判旨の要点)】選挙管理委員会が作成・配布した候補者一覧表から特定の候補者を遺脱したことは、明文規定の違反がなくとも選挙の公正を著しく欠く「選挙の規定」違反にあたる。また、その後の補填措置では不十分であり、選挙の結果に異動を及ぼす虞があるとして選挙は無効とされる。 第1 事案の概要:昭和22年の宮崎県議会議員選挙…
事件番号: 昭和44(行ツ)2 / 裁判年月日: 昭和45年7月16日 / 結論: 棄却
選挙人にあらかじめ配布された入場券が住所不明として返戻された場合において、当該選挙人であるとして入場券を持参しない者が投票に来たときは、投票事務従事者において「その理由をただし」、また、本人であることの確認には生年月日の対照をもつてすることが、選挙事務の取扱いとして至当というべきであるが、これを欠いたからといつて、その…