一 船荷証券が発行されている商品の輸出取引による収益を船積みの時点で計上する会計処理は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合する。 二 船荷証券が発行されている商品の輸出取引による収益を取引銀行による荷為替手形の買取りの時点で計上する会計処理は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合しない。 (二につき反対意見がある。)
一 船荷証券が発行されている商品の輸出取引による収益を船積みの時点で計上する会計処理と一般に公正妥当と認められる会計処理の基準 二 船荷証券が発行されている商品の輸出取引による収益を取引銀行による荷為替手形の買取りの時点で計上する会計処理と一般に公正妥当と認められる会計処理の基準
法人税法22条2項,法人税法22条4項
判旨
法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」とは、取引の経済的実態からみて合理的な収益計上基準を指す。輸出取引において、為替取組日基準は収益計上時期の人為的操作を許すため、同基準に適合せず、船積日基準による収益計上が正当である。
問題の所在(論点)
輸出取引による収益の帰属時期に関し、法人が継続採用してきた「為替取組日基準」が、法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に適合するか。
規範
法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」は、公平な所得計算という要請に反しない限り、現に行われた利益計算を是認する趣旨である。したがって、収益計上時期は、法律上の権利行使可能性のみを唯一の基準とするのではなく、取引の経済的実態からみて合理的な基準の中から、法人が選択し継続適用しているものを是認すべきである。ただし、実現が未確定な収益を計上したり、確定済みの権利を現金の回収まで繰り延べるなどの処理は、同基準に適合しない。
重要事実
事件番号: 令和4(行ヒ)228 / 裁判年月日: 令和5年11月6日 / 結論: その他
1 内国法人に係る特定外国子会社等の事業年度の途中で当該特定外国子会社等の発行する優先出資証券が償還され、当該事業年度終了の時には、当該特定外国子会社等の発行済株式等が、当該内国法人が有し剰余金の配当等が予定されていない普通株式のみとなった場合において、当該特定外国子会社等の事業年度を当該優先出資証券の償還日の前日まで…
ビデオデッキ等の輸出取引を行う上告人は、船荷証券を発行し、銀行に荷為替手形を買い取ってもらう形式で取引を行っていた。上告人は、銀行に船荷証券を交付した日を収益計上時期とする「為替取組日基準」を採用していたが、課税当局は、実務上一般的な「船積日基準」によるべきとして更正処分を行った。なお、インコタームズ上の所有権移転時期は、船荷証券提供時に船積時まで遡及して移転するとされている。
あてはめ
船荷証券が発行される輸出取引では、船積時点で売主の引渡義務は実質的に完了しており、輸出保険等の存在から代金回収も確実となるため、船積時点で代金請求権が確定したとみる経済的実態がある。これに対し、為替取組日における船荷証券の交付は、銀行に対する担保提供にすぎず、売買契約上の引渡しではない。為替取組日基準は、既に確定した収益を現金回収時点まで繰り延べるものであり、収益計上時期を人為的に操作する余地を生じさせるため、公平な所得計算の要請に反する。
結論
為替取組日基準は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に適合せず、船積日基準によって収益を計上すべきとした更正処分は適法である。
実務上の射程
法人税法22条4項の解釈として、会計上の慣行が「経済的実態からみて合理的か」を判断する際のリーディングケースである。特に、法律上の権利確定(私法上の効果)と経済的な実現(実態)が乖離する場合、租税法独自の視点から経済的実態を重視する枠組みを示す。答案上は、法人が採用する会計処理が人為的な操作可能性を内包するか否かの検討において、本判旨の論法を援用する。
事件番号: 昭和55(行ツ)150 / 裁判年月日: 昭和59年10月25日 / 結論: 棄却
建設資材の製造、販売等を営む同族会社が系列会社に対しその製品を販売した取引につき、販売価額が通常の販売価額の五六ないし五七パーセントで製造原価をも下回るものであるなど原審認定の事実関係(原判決理由参照)があるときは、右取引は、経済的取引として不合理不自然であり、法人税法一三二条一項にいう「法人の行為又は計算で、これを容…
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 平成14(行ヒ)147 / 裁判年月日: 平成16年12月24日 / 結論: 破棄自判
1 法人の各事業年度の所得の金額の計算において,金銭債権の貸倒損失を法人税法22条3項3号にいう「当該事業年度の損失の額」として当該事業年度の損金の額に算入するためには,当該金銭債権の全額が回収不能であることが客観的に明らかでなければならず,そのことは,債務者の資産状況,支払能力等の債務者側の事情のみならず,債権回収に…
事件番号: 平成15(行ヒ)215 / 裁判年月日: 平成17年12月19日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…