第一種市街地再開発事業の施行地区内の宅地の所有者は、その宅地上の借地権者に対する権利変換に関する処分につき、右借地権の不存在を主張して取消訴訟を提起することができる。
第一種市街地再開発事業の施行地区内の宅地の借地権者に対する権利変換に関する処分の取消訴訟と右宅地の所有者の原告適格
行政事件訴訟法9条,都市再開発法86条
判旨
第一種市街地再開発事業において、宅地所有者は借地権の存在を争う場合、借地権者に対する権利変換処分の取消しを求める原告適格を有する。また、第三者の審査請求期間の起算点については、諸般の事情から処分があったことを了知したと推認できる日を「処分があったことを知った日」と解すべきである。
問題の所在(論点)
1. 宅地所有者は、同一敷地上の借地権者に対する権利変換処分の取消しを求める原告適格を有するか。 2. 処分の名宛人以外の第三者について、審査請求期間(行審法14条1項当時)の起算点となる「処分があったことを知った日」をいかに判断すべきか。
規範
1. 権利変換処分が第三者の権利に影響を及ぼし、当該処分が取り消された場合に施行者が改めて別個の処分をすべき関係(拘束力:行訴法33条1項)にあるときは、当該第三者は処分の取消しを訴求する法律上の利益(行訴法9条1項)を有する。 2. 処分の名宛人以外の第三者における審査請求期間の起算点である「処分があったことを知った日」とは、諸般の事情から当該第三者が処分があったことを了知したものと推認できる日を指す。
重要事実
施行地区内の宅地所有者である上告人らは、当該宅地上に借地権が存在しないと主張して、借地権者らに対してなされた権利変換処分の取消しを求めた。上告人らは権利変換計画の縦覧手続により内容を知り、意見書を提出したが不採択とされた。その後、上告人らは自己に対する処分通知(計画の写し添付)を3月17日に受領したが、借地権者らに対する処分を対象とする審査請求を行ったのは6月4日であった。
事件番号: 昭和31(オ)141 / 裁判年月日: 昭和35年9月15日 / 結論: 棄却
旧特別都市計画法に基く県知事の換地予定地指定処分のより違法に権利を害されたとするものの訴願を提起することは許されず、行政事件訴訟特例法第五条に従い、直接裁判所に出訴することのみが許される。
あてはめ
1. 借地権者への処分が取り消されれば、施行者は上告人らに対し借地権がない前提で再処分を行う義務を負うため、上告人らの権利に直接影響を及ぼすといえ、原告適格が認められる。 2. 上告人らは意見書の不採択通知を受け、さらに自己への処分通知を受領した際、縦覧時と同一の計画に基づき借地権者らへの処分もなされたことを当然に了知したと推認される。よって、3月17日が「知った日」となり、6月4日の審査請求は期間を徒過しているといえる。
結論
上告人らは原告適格を有するが、審査請求期間を徒過しており審査請求前置(都市再開発法128条1項等)を欠くため、訴えは不適法として却下される。
実務上の射程
原告適格の判断において、処分の相互関連性と取消判決の拘束力から法律上の利益を導く枠組みを示す。また、第三者の不服申立期間について「知った日」を客観的状況から推認する実務上の基準を提示しており、期間徒過の抗弁を検討する際に重要となる。
事件番号: 平成16(行ヒ)275 / 裁判年月日: 平成18年1月19日 / 結論: 破棄自判
1 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者は,本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをすることができる。 2 国税徴収法39条所定の第二次納税義務者が本来の納税義務者に対する課税処分につき国税通則法75条に基づく不服申立てをする場合における同法77条1項所定の不服申立期間の起算日は,当…
事件番号: 昭和26(オ)392 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 破棄差戻
自作農創設特別措置法第四七条の二にいう「当事者がその処分のあつたことを知つた日」とは、当事者が書類の交付、口頭の告知その他の方法により処分を現実に知つた日を指すのであつて、抽象的な知り得べかりし日を意味するものではない。
事件番号: 平成24(行ヒ)20 / 裁判年月日: 平成24年11月20日 / 結論: 破棄自判
収用委員会の裁決につき審査請求をすることができる場合において,審査請求がされたときは,収用委員会の裁決の取消訴訟の出訴期間は,土地収用法133条1項ではなく行政事件訴訟法14条3項の適用により,その審査請求に対する裁決があったことを知った日から6か月以内かつ当該裁決の日から1年以内となる。