起訴後においては被告人の当事者たる地位にかんがみ、捜査官が当該公訴事実について被告人を取り調べることはなるべく避けなければならないが、これによつて直ちにその取調を違法とし、その取調の上作成された供述調書の証拠能力を否定すべきではない。
起訴後における捜査官による被告人の取調の適否―起訴後作成された被告人の捜査官(検察官)に対する供述調書の証拠能力。
刑訴法197条,刑訴法198条
判旨
起訴後であっても捜査官は公訴維持のために必要な取調を行うことができ、被告人の当事者的地位を考慮してなるべく避けるべきではあるが、直ちに当該取調を違法とし供述調書の証拠能力を否定すべきではない。
問題の所在(論点)
起訴後(公訴提起後)において、捜査官が被告人を取り調べ、供述調書を作成することは許されるか。また、その証拠能力は認められるか。
規範
刑事訴訟法197条は捜査の目的達成に必要な取調を認めており、同法198条の「被疑者」という文言にかかわらず、捜査官は起訴後においても公訴維持に必要な取調を行うことができる。被告人の当事者としての地位に鑑み、起訴後の取調はなるべく避けるべきであるが、これによって直ちに取調が違法となり、作成された供述調書の証拠能力が否定されるものではない。また、勾留中の取調であることのみをもって供述の任意性が否定されることもない。
重要事実
被告人が起訴された後、第1回公判期日の前日(昭和35年9月6日)に、検察官が被告人を取り調べ、供述調書を作成した。第1審において、被告人および弁護人はこの供述調書を証拠とすることに同意していたが、上告審において、起訴後の被告人に対する取調は違法であり、当該調書の証拠能力が否定されるべきであると主張した。
あてはめ
検察官が行った本件取調は、起訴後ではあるが第1回公判期日前になされており、公訴維持のために必要な取調の範囲内といえる。被告人の当事者としての地位を尊重し、起訴後の取調は抑制的であるべきだが、本件では被告人及び弁護人が証拠採用に同意しているという事情もあり、手続的な違法や供述の強制は認められない。したがって、当該調書の証拠能力を肯定した原判決に違法はない。
結論
起訴後の被告人に対する取調およびそれに基づく供述調書の作成は適法であり、その証拠能力は認められる。
実務上の射程
起訴後の任意捜査の可否に関するリーディングケース。実務上、被告人の公判準備権や黙秘権との兼ね合いから、公訴提起後の取調は限定的であるべきだが、証拠能力を直ちに否定するものではない。答案では、証拠同意がある場合や公判準備のための必要性が高い場合に、本判例を根拠に証拠能力を肯定する論法として活用できる。
事件番号: 昭和25(あ)676 / 裁判年月日: 昭和26年1月25日 / 結論: 棄却
原審は所論の略図そのものを事実認定の資料としたものではなく、被告人が警察署における取調に際し詳細に窃盗の事実を述べた上、犯行当時における被告人及び第一審相被告人Aの位置などを明確にするため所論の略図を書いたという事実を証人Bの証言によつて、認定し、この事実を考慮に入れて他の証拠と相俟つて被告人がAと共謀の条第一審判決判…