一 公職選挙法第一二九条にいわゆる選挙運動は、選挙運動の期間中適法にすることができる選挙運動行為にかぎるものではない。 二 同法第二五二条は憲法第一三条、第一五条第一項、第一四条、第四四条に違反しない。
一 公職選挙法第一二九条にいわゆる選挙運動の意義。 二 同法第二五二条の合憲性。
公職選挙法129条,公職選挙法239条1号,公職選挙法221条1項1号,公職選挙法252条,憲法13条,憲法15条1項,憲法14条,憲法44条
判旨
公職選挙法129条の「選挙運動」は、期間中であれば適法になし得る行為に限らず、それ自体が違法な行為をも含み、これに違反した場合は同法239条1号に基づき処罰される。
問題の所在(論点)
公職選挙法129条が禁止する「選挙運動」に、それ自体が同法221条1項1号の買収罪等に該当する「違法な行為」が含まれるか。
規範
公職選挙法129条の趣旨は、常時選挙運動が行われることに伴う弊害を防止し、選挙の公正を期するために運動の時期を制限する点にある。したがって、同条にいう「選挙運動」とは、期間中であれば適法になし得る行為のみを指すのではなく、選挙運動期間中か否かにかかわらず、それ自体が買収罪等の別罪に該当する違法な行為をも包含する。
重要事実
被告人A、B、Cらは、公職選挙法に規定される選挙運動期間外において、特定の候補者を当選させる目的で、買収にあたる各行為(判示第1の(1)(イ)(ロ)(ハ))を行った。これらの行為が、期間外の選挙運動を禁じた同法129条に違反するかが争点となった。
あてはめ
本件における被告人らの行為は、選挙運動期間外に行われた買収行為である。同法129条の目的が選挙の公正確保と運動時期の限定にある以上、その行為が買収という違法な態様を伴うものであっても、特定の候補者の当選を図る活動である限り「選挙運動」に該当すると解される。したがって、本件買収行為に対して同法221条1項1号(買収罪)とともに129条違反(事前運動の禁止)を問い、同法239条1号を適用することは正当である。
結論
公職選挙法129条の選挙運動には違法な行為も含まれる。被告人らの行為を事前運動の禁止違反として処断した原判断は正当であり、憲法31条等にも違反しない。
実務上の射程
選挙運動の概念に関する基本判例であり、事前運動禁止(129条)と買収罪等の他の禁止規定が重畳的に適用されることを肯定する。答案上は、選挙運動の定義を論じる際、適法・違法を問わず「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的として、投票を得させるために有利な影響を与える行為」として広く解釈する根拠として活用できる。
事件番号: 昭和35(あ)2218 / 裁判年月日: 昭和36年2月7日 / 結論: 棄却
一 公職選挙法一二九条、一四二条等にいわゆる「選挙運動」には、同法一三八のいわゆる戸別訪問禁止の規定にいう「投票を得若しくは得しめ又は得しめない目的」のごとき投票依頼等の目的を要件としないものと解すべきである。 二 ある団体の推せん候補者であることが当選獲得に効果があると認めれる場合に、同団体員でない者が甲某に当選を得…