控訴審が刑訴三九三条の規定により事実の取調をなし、同四〇〇条但書の規定により被告事件について更に判決をする場合において、裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、訴因の変更を許さなければならないものであること同四〇四条、三一二条の規定により明白である。
控訴審において訴因変更が許される事例
刑訴法404条,刑訴法312条,刑訴法400条,刑訴法393条
判旨
控訴審において事実の取調べを行い、自判をする場合には、公訴事実の同一性を害しない限度で訴因変更を許さなければならない。
問題の所在(論点)
控訴審において、事実の取調べを経て自ら判決を下す(自判する)場合、裁判所は検察官による訴因変更の請求を許さなければならないか。控訴審における訴因変更の可否が問題となる。
規範
控訴審において、刑訴法393条に基づき事実の取調べをなし、同法400条但書の規定により被告事件について自判をする場合、裁判所は、検察官の請求があるときは、公訴事実の同一性を害しない限度において、訴因の変更を許さなければならない(刑訴法404条、312条)。
重要事実
被告人が控訴した事件において、控訴審(原審)が刑訴法393条の規定に基づき事実の取調べを実施した。その上で、同法400条但書を適用して、自ら被告事件について判決(自判)を下した際、訴因の変更を認めた。これに対し、弁護人が控訴審における訴因変更の許容性について、訴訟法違反を理由に上告した事案である。
あてはめ
本件では、原審(控訴審)が刑訴法393条による事実の取調べを行っており、かつ同法400条但書に基づき自判を行う場合に該当する。このような状況下では、刑訴法404条により第一審の訴訟手続に関する規定が準用されるため、同法312条が適用される。したがって、公訴事実の同一性が維持されている限り、裁判所は訴因変更を許容する義務を負う。原判決が訴因変更を許したことは、これらの法規定に適合した適法な手続であるといえる。
結論
控訴審が事実の取調べを行い自判する場合、公訴事実の同一性を害しない限り訴因変更を許さなければならないため、原判決に訴訟法違反は認められない。
実務上の射程
控訴審が「事実の取調べをなし、かつ自ら判決をする場合」という限定的な状況において、第一審と同様の訴因変更手続が認められることを明確にした判例である。答案上では、控訴審における訴因変更の可否を論じる際、刑訴法404条・312条を根拠として本判例の規範を引用し、訴因変更が適法とされる前提条件(事実取調べの実施と自判の予定)を確認する際に用いる。
事件番号: 昭和55(あ)937 / 裁判年月日: 昭和55年10月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官が量刑不当を理由に控訴し、控訴審が第一審判決を破棄して被告人に不利益な刑を言い渡しても、憲法39条の二重処罰禁止の規定には違反しない。 第1 事案の概要:第一審判決に対し、検察官が量刑不当のみを理由として控訴を申し立てた。控訴審は検察官の主張を理由があると認め、第一審判決を破棄した上で、第一…