捜査機関の嘱託にもとずき作成された鑑定書には、裁判所が命じた鑑定人の作成した書面に関する刑訴第三二一条第四項を準用すべきものである。
捜査機関の嘱託にもとずき作成された鑑定書に刑訴第三二一条第四項の準用があるか
刑訴法223条,刑訴法321条4項,刑訴法321条3項
判旨
捜査機関の嘱託に基づく鑑定書(刑訴法223条)の証拠能力について、刑事訴訟法321条4項を準用して判断すべきである。これにより、鑑定人の真実性の裏付けがある場合には、伝聞例外として証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
捜査機関から嘱託を受けた鑑定人が作成した鑑定書(刑訴法223条)に対し、裁判所が命じた鑑定人の鑑定書に関する伝聞例外規定(刑訴法321条4項)を準用できるか。
規範
捜査機関の嘱託によって行われた鑑定の結果を記載した書面(刑訴法223条に基づく嘱託鑑定書)については、裁判所が命じた鑑定人の作成した鑑定書に関する規定である刑事訴訟法321条4項を準用すべきである。
重要事実
本件において、被告人に対し有罪の証拠として捜査機関の嘱託に基づく鑑定書が提出された。被告人側は、当該鑑定書の証拠能力が争点となる中で、伝聞法則との関係や適法な証拠調べの手続きについて争い、上告に及んだ。
あてはめ
刑事訴訟法321条4項は、裁判所から命ぜられた鑑定人が作成した鑑定書の証拠能力を認めている。捜査段階において検察官等の嘱託により作成された鑑定書(同法223条)も、その専門的知見に基づく判断という性質において裁判所の鑑定と異ならない。したがって、同条項を準用し、鑑定人が公判準備または公判期日において当該書面が自己の作成したものであることを確認した場合には、証拠能力が認められるべきである。
結論
嘱託鑑定書には刑事訴訟法321条4項が準用されるため、適法に証拠能力が認められる。本件上告は棄却される。
実務上の射程
実務上、捜査段階の鑑定書(DNA鑑定、精神鑑定等)の証拠能力を検討する際の根拠となる重要判例である。答案では、伝聞例外の検討において、まず嘱託鑑定であることを指摘し、本判例を根拠に321条4項を準用する流れで記述する。
事件番号: 昭和54(あ)2200 / 裁判年月日: 昭和55年3月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項の補強証拠は、自白の真実性を担保し、これと相まって公訴事実の存在を推測させる証明力があれば足りる。 第1 事案の概要:被告人が起訴された事実(本件公訴事実)に対し、有罪の証拠として被告人の自白が存在した。これに加え、福岡県技術吏員Aが作成した昭和51年12月18日付の鑑定書が証拠とし…