間接国税以外の国税に関する犯則事件については、収税官吏の告発をもつて公訴提起の訴訟条件と解することはできない。
間接国税以外の国税に関する犯則事件について告発は公訴提起の訴訟条件か
国税犯則取締法12条ノ2
判旨
間接国税以外の国税に関する犯則事件について、収税官吏の告発は公訴提起の訴訟条件ではない。これは、間接国税と異なり、法が行政処分による終局的処理(通告処分)の制度を設けていないためである。
問題の所在(論点)
国税犯則取締法(当時)の下で、間接国税以外の国税に関する犯則事件について、収税官吏の告発は公訴提起の有効要件(訴訟条件)となるか。
規範
間接国税に関する犯則事件については、国税局長または税務署長による通告処分・任意履行という行政上の終局処理制度が存することから、収税官吏の告発は公訴提起の訴訟条件となる。これに対し、間接国税以外の国税に関する犯則事件については、かかる制度的制約がないため、収税官吏の告発は訴訟条件とは解されない。
重要事実
被告人らは、間接国税以外の国税に関する犯則事件について起訴された。弁護人は、間接国税以外の国税についても、間接国税と同様に収税官吏の告発が公訴提起の訴訟条件であると主張し、本件公訴提起の有効性を争った。原判決(二審)は、間接国税以外の犯則事件については収税官吏の告発は訴訟条件とならないと判断したため、被告人が上告したものである。
事件番号: 昭和38(あ)297 / 裁判年月日: 昭和39年7月9日 / 結論: 棄却
本件所得税法違反被告事件の如き間接国税以外の国税に関する犯則事件については、収税官吏の告発をもつて公訴提起の訴訟事件と解することはできないことは既に当裁判所の判例とするところであり、今なおこれを変更すべきものとは認められない(昭和二八年(あ)第一六号同年九月二四日第一小法廷判決、刑集七巻九号一八二五頁参照)。
あてはめ
国税犯則取締法13条ないし19条によれば、間接国税については、局長等が通告処分を行い、犯則者がこれを履行した場合には刑事訴追を受けないという行政上の処理を原則としている。このため、例外的に刑事手続に移行させるための「告発」が訴訟条件としての意義を持つ。しかし、同法12条の2が規定する間接国税以外の犯則事件については、単に収税官吏が犯則ありと思料するときに告発すべき旨を定めているに過ぎない。間接国税における通告処分や任意履行による事件終結の規定が存在しない以上、告発を公訴提起の不可欠な前提条件と解すべき根拠はない。
結論
間接国税以外の国税に関する犯則事件において、収税官吏の告発は訴訟条件ではない。したがって、告発の有無にかかわらず公訴提起は有効である。
実務上の射程
租税犯における公訴提起の適法性が争われる際の基準を示す。間接税(消費税等)と直接税(所得税・法人税等)で、犯則調査から起訴に至るプロセスの法的性質(特に告発の要否)を区別する際のリーディングケースとして活用できる。
事件番号: 昭和40(あ)11 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
法人税法違反事件については、収税官吏の告発をもつて公訴提起の訴訟条件と解することはできないとした原判決の判断は相当である(昭和二八年(あ)第一六号同年九月二四年第一小法廷判決、集七巻九号一八二五頁参照)。