刑訴施行法第三条の二は、憲法に違反しない。
刑訴施行法第三条の二の合憲性
刑訴施行法3条の2,憲法14条,憲法32条
判旨
刑事訴訟法施行法3条の2において、事実誤認および量刑不当を上告理由としない制限を設けたことは、憲法に違反しない。旧法下で公訴が提起された事件の上告審手続には、同法施行法等の経過措置が適用され、刑訴応急措置法の違憲性は問題とならない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法施行法3条の2に基づき、事実誤認および量刑不当を上告理由として認めない制限が、憲法に違反するか。また、刑事訴訟応急措置法の違憲性を主張することが適法な上告理由となるか。
規範
刑事訴訟法施行法3条の2が、事実誤認や量刑不当を上告理由から除外している点は、憲法の定める適正手続や裁判を受ける権利に反するものではない。上告審における上告理由の範囲を法律により画定することは、立法府の裁量に属し、特定の事由を制限したとしても直ちに違憲とはいえない。
重要事実
被告人Aらは、刑事訴訟法施行前に公訴が提起された事件について、昭和26年2月15日に控訴審判決を受けた。これに対し、被告人側は刑事訴訟応急措置法13条2項の違憲無効、および事実誤認、量刑不当を主張して上告した。本件は新旧法の移行期にあり、どの法律が適用され、どのような上告理由が認められるかが争点となった。
あてはめ
本件は刑事訴訟法施行前に公訴提起された事件であるため、施行法2条および3条の2が適用される。同法3条の2は、事実誤認や量刑不当を上告理由として認めていない。この制限については、すでに最高裁大法廷判決(昭和23年2月6日)が示した趣旨に照らし、憲法違反ではないと解される。また、本件には刑事訴訟応急措置法13条2項は適用されないため、同条の違憲を主張する論旨は、判断の前提を欠く不適法なものである。
結論
本件各上告を棄却する。刑事訴訟法施行法による上告理由の制限は合憲であり、被告人の主張は適法な上告理由にあたらない。
実務上の射程
新旧法の過渡期における経過措置の合憲性を確認した判例である。現代の司法試験においては、上告理由が刑訴法405条に限定されていることの憲法適合性や、上告審の性格(法律審・事後審)を論じる際の論拠として活用できる。特に事実誤認を直接の理由として上告できない仕組みが、裁判を受ける権利(憲法32条)を侵害しないことの法的根拠として位置づけられる。
事件番号: 昭和26(れ)122 / 裁判年月日: 昭和26年5月8日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、適法な上告理由にはあたらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の事実認定に不服を申し立て、事実誤認を理由として最高裁判所へ上告した事案である。 第2 問題の所在(論点):事実誤認の主張が、当時の刑事手続法(刑事訴訟法応急措置法)上、適法な…