指定生産資材在庫調整規則第三条に定められた「指定生産資材を所有する者」が法人である場合には、同条の「報告書を提出しなければならない」者とは、法人の代表者のみならず、当該資材の調査に関する事務を統括する地位にある「報告担当者」をも指称すると解すべきである。
指定生産資材在庫調整規則(昭和二二年一月二五日商工農林省令第二号)第三条にいわゆる「報告書を提出しなければならない」者の意義
指定生産資材在庫調整規則3条,別記様式の指定生産資材在庫数量等報告書用式(報告要領を含む)臨時物資需給調整法6条,別記様式の指定生産資材在庫数量等報告書用式(報告要領を含む)臨時物資需給調整法5条,別記様式の指定生産資材在庫数量等報告書用式(報告要領を含む)臨時物資需給調整法3条1項
判旨
臨時物資需給調整法に基づく報告義務に関し、規則上の「報告担当者」には、法人の代表者のみならず、資材調査事務を統括する地位にある代理人、使用人その他の従業者も含まれる。
問題の所在(論点)
臨時物資需給調整法3条1項に基づく報告義務を定めた規則において、罰則の対象となる「報告担当者」に、法人代表者以外の従業者が含まれるか。また、代表者でないことを理由に直ちに無罪とすることが許されるか。
規範
法人が関与する報告義務違反の成否を判断するにあたっては、両罰規定の趣旨(臨時物資需給調整法6条)を参酌すべきである。具体的には、省令(規則)に定める「報告担当者」とは、法人の代表者のみならず、資材調査に関する事務を統括する地位にある法人の代理人、使用人その他の従業者を指すものと解される。したがって、これらの者が法規の命ずる報告を怠れば、当該「報告担当者」及び法人に犯罪が成立する。
重要事実
被告人Aは株式会社Bの従業者であったところ、指定生産資材在庫調整規則(以下「規則」)3条に基づく指定生産資材の所有数量等に関する報告を怠ったとして、臨時物資需給調整法違反で起訴された。規則3条及び別記様式では、報告義務を負う「事業者」のほかに「報告担当者」の署名捺印を求めていた。原審は、被告人Aが会社代表者でないことを理由に、A及び法人であるBを無罪としたため、検察官が上告した。
事件番号: 昭和25(あ)1650 / 裁判年月日: 昭和26年3月15日 / 結論: 棄却
論旨は原判決をもつて起訴のない事実につき被告人を有罪としたものと前提して原判決は大審院の判例に反するものというのであるが、論旨には原判決の反すると主張する大審院の判例を具体的に挙示していないのであるから、論旨は刑訴規則第二五三条の規定に違反する不適法の上告申立であるといわなければならない。
あてはめ
臨時物資需給調整法6条(両罰規定)は、代表者以外にも代理人や従業者が報告をしない場合を想定し、行為者と法人の双方を罰する旨を定めている。また、規則の様式において「報告担当者」の氏名等の記載を求め、工場・事業場等ごとに提出すべきとしている点に照らせば、現場で事務を統括する者の存在が予定されている。したがって、被告人Aが単に代表者でないという事実のみをもって直ちに義務者でないと断定することはできず、Aが「資材調査に関する事務を統括する地位」にあったか否かを審理すべきであったといえる。
結論
被告人Aが「報告担当者」としての実質的な地位にあるか否かを審理せずに無罪とした原判決には、法令の解釈適用の誤り又は審理不尽の違法がある。よって、原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
行政法規違反における両罰規定の適用範囲に関し、実行行為者(行為者)の範囲を単なる代表者に限定せず、事務を統括する実務上の責任者にまで広げて肯定した事例である。司法試験においては、行政刑罰の主体や両罰規定における「行為者」の認定、及び法人の義務を誰が具体的に履践すべきかという文脈で、規範の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和25(れ)1884 / 裁判年月日: 昭和26年3月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】指定生産資材割当規則と指定繊維資材配給規則は、後者が前者を補完する関係にあり、一方の適用が他方を排除するものではない。また、需要者の地位にある者が割当証明書と引換えずに資材を売買した場合は、割当規則違反が成立する。 第1 事案の概要:被告人は絹織物等の製造業者であり、指定生産資材である生糸等の需要…
事件番号: 昭和26(れ)2396 / 裁判年月日: 昭和27年2月26日 / 結論: 棄却
一 本件については、旧刑訴事件の上訴審における審判の特例に関する規則八条が適用されるから、控訴審判決が、証拠により罪となるべき事実を認めた理由を説明するには、証拠の標目を掲げれば足りるのである。(同規則の違法、無効でないことは、昭和二四年(れ)第二一二七号同二五年一〇月二五日大法廷判決、集四巻一〇号二一五一頁の趣旨に徴…
事件番号: 昭和26(れ)1742 / 裁判年月日: 昭和27年12月18日 / 結論: 棄却
いわゆる進駐軍用物資の揮発油であつても、石油製品配給規則による統制の対象となるものと解すべきである。
事件番号: 昭和25(れ)1037 / 裁判年月日: 昭和25年12月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑法等の罰則規定における「業務に属する者」とは、必ずしも業務行為として当該行為を行った者に限られず、売買の主体と利益享受者が別人であっても適用される。また、公訴事実に記載された売主の氏名・名称が認定事実と異なっていても、日時、目的物、価額等の主要な要素が同一であれば、公訴事実の同一性が認められる…