しかし、所謂自白の補強証拠としては、主として犯罪の客観的方面に関するものであり、自白の真実性を裏附けするに足るものであれば十分であつて、その間接的証拠であると直接的証拠であるとを問わないものと解すべきである。この見解は既に当裁判所大法廷の判例によつて判示せられている(昭和二三年(れ)第七七号同二四年五月一八日判例集三巻六号七三四頁、同二三年(れ)第一一二号同年七月一四日判例集二巻八号八七六頁参照)。
自白の補強証拠は間接証拠で足りるか
憲法38条3項,刑訴応急措置法10条3項
判旨
自白の補強証拠は、犯罪の客観的側面に関するものであり、自白の真実性を裏付けるに足りるものであれば十分であって、直接証拠であるか間接証拠であるかを問わない。
問題の所在(論点)
自白の補強証拠として間接証拠を用いることが許されるか。補強証拠に必要とされる性質および範囲が問題となる。
規範
自白の補強証拠(憲法38条3項、刑訴法319条2項)は、主として犯罪の客観的側面に関するものであり、自白の真実性を裏付けるに足りる証拠(実質説)であれば、それが直接証拠であるか間接証拠(情況証拠)であるかを問わない。
重要事実
被告人が公判外で自白をしていたが、公判においてはその事実認定が争われた。原審は、被告人の公判外の自白に加え、それ以外の証拠(間接的な証拠)を総合して犯罪事実を認定した。これに対し弁護人は、自白の補強証拠は直接証拠である必要があり、間接証拠によって自白を補強することは法律上許されないと主張して上告した。
あてはめ
本件において、原審は被告人の公判外の自白だけでなく、原判決が挙示する他の証拠を総合して事実を認定している。補強証拠は、自白にかかる犯罪事実が架空のものではなく真実であることを担保するためのものであり、必ずしも犯罪の各要素を直接証明する証拠である必要はない。したがって、原審が間接証拠を総合して自白の真実性を裏付け、事実認定の資料としたことは、補強法則の趣旨に照らし適法である。
結論
間接証拠であっても、自白の真実性を裏付けるに足りるものであれば補強証拠となり得る。したがって、原判決の事実認定に違法はなく、上告は棄却される。
実務上の射程
補強法則における「実質説」を明確にした判例であり、答案上、補強証拠の適格性を論じる際に用いる。補強の程度について「実質的な真実性の担保」で足りるとする論証の根拠となる。また、間接証拠(情況証拠)の総合評価によって補強が可能であることを示す際にも重要である。
事件番号: 昭和25(れ)1684 / 裁判年月日: 昭和26年3月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の自白が強制に基づくものであるとの主張に対し、記録上そのような事実が認められない限り、自白の任意性を肯定した原審の判断は適法である。証拠の信憑性に関する判断は原審の専権事項であり、採証法則に違背しない限り上告理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人は強盗殺人罪に問われ、司法警察官、検察官…