一 印紙税法第四条第二九号にいわゆる「受取書」とは、その名称が受取、記、証その他の如何を問わずその内容、実質が金銭、物品等の受領を証明する書面を指すものであつて、同法第一条の「財産権の創設、移転、変更若しくは消滅を証明すべき証書」の一に該当するものをいう。 二 仮受取書についても本受取書と同じくこれを作成する者において所定の印紙税を収むべきものである。
一 印紙税法第四条第二九号の「受取書」の意義 二 仮受取書と印紙の貼用
印紙税法1条,印紙税法4条1項29号
判旨
印紙税法上の「受取書」とは、その名称を問わず実質的に金銭等の受領を証明する書面を指す。仮受取書であっても、本受取書と同一の事実を独立して完全に証明する効力を有する以上、課税対象となる「受取書」に該当する。
問題の所在(論点)
印紙税法4条29号(当時)にいう「受取書」の定義および、後日「本受取書」が交付される予定の「仮受取書」が同号の「受取書」に含まれるか。
規範
印紙税法上の「受取書」とは、名称が受取、記、証等のいずれであるかを問わず、その内容・実質が金銭、物品等の受領を証明する書面をいい、同法にいう「財産権の創設、移転、変更若は消滅を証明すべき証書」の一種である。作成された書面が、裁判上または裁判外において受領の事実を独立して完全に証明する効力を有するものであれば、課税対象としての「受取書」に該当する。
重要事実
被告人が、金銭の受領に際して「仮受取書」と称する書面を作成し交付したところ、当該書面が印紙税法上の課税対象である「受取書」に該当し、印紙税の納税義務が生じるかどうかが争われた。弁護人は、後日「本受取書」が交付される予定の「仮受取書」は課税対象に含まれない旨を主張した。
事件番号: 昭和30(あ)2858 / 裁判年月日: 昭和33年3月25日 / 結論: 棄却
一 取引高税印紙は印紙犯罪処罰法第二条にいう「印紙」にあたる。 二 印紙犯罪処罰法第二条第一項前段にいう偽造、変造等にかかる印紙の「使用」とは、必ずしも、納税の用に供するため印紙本来の用法に従つてこれを使用する場合に限らず、これを債務の担保に供し、または金融のため譲渡する等広く真正の印紙としての効用を発揮させるため情を…
あてはめ
本件の仮受取書は、後日交付される本受取書と同一の内容を証明するものである。その名称に「仮」と付されてはいるものの、法律上の作用においては本受取書と差異はなく、裁判上または裁判外において独立して受領の事実を完全に証明する効力を有するといえる。したがって、その実質において金銭等の受領を証明する証書としての機能を果たしていると解される。
結論
仮受取書であっても、独立して受領の事実を証明する効力を有する以上、印紙税法上の「受取書」に該当し、作成者は所定の印紙税を納める義務を負う。
実務上の射程
文書の法的性質は形式的な名称ではなく実質的な証明効力によって判断されるべきという実質主義を明確にした。課税要件の解釈において、書面が独立して権利義務関係の事実を証明する効力を持つか否かが基準となるため、実務上、代替的な名称や予備的な書面であっても同様の証明機能を持つ限り印紙税の対象となる点に注意が必要である。
事件番号: 昭和29(あ)1523 / 裁判年月日: 昭和30年2月3日 / 結論: 棄却
印紙犯罪処罰法制定後、その施行中に政府が新たに発行した取引高税印紙は、同法にいわゆる印紙に該当する。
事件番号: 昭和30(あ)553 / 裁判年月日: 昭和30年8月9日 / 結論: 棄却
使用済の印紙であつても財物であつて盗罪の目的となる。
事件番号: 昭和27(あ)4689 / 裁判年月日: 昭和34年7月14日 / 結論: 棄却
本件A不動産株式会社増資新株式申込証拠金領収書は刑法一六二条所定の有価証券に当たる。