一 取引高税印紙は印紙犯罪処罰法第二条にいう「印紙」にあたる。 二 印紙犯罪処罰法第二条第一項前段にいう偽造、変造等にかかる印紙の「使用」とは、必ずしも、納税の用に供するため印紙本来の用法に従つてこれを使用する場合に限らず、これを債務の担保に供し、または金融のため譲渡する等広く真正の印紙としての効用を発揮させるため情を知らない他人に引渡し、又は呈示する等の行為を指称するものと解すべきである。
一 取引高税印紙は印紙犯罪処罰法第二条にいう「印紙」にあたるか 二 印紙犯罪処罰法第二条第一項前段にいう偽造、変造等にかかる印紙の「使用」の意義
印紙犯罪処罰法2条,取引高税法11条
判旨
印紙犯罪処罰法2条1項にいう「印紙」には日本政府発行名義の取引高税印紙が含まれ、偽造・変造された印紙を「使用」する行為は同条の処罰対象となる。
問題の所在(論点)
1. 日本政府発行名義の取引高税印紙が、印紙犯罪処罰法2条にいう「印紙」に含まれるか。 2. 同条1項前段にいう「使用」の意義。 3. 被告人が心神喪失状態にあったとされる場合の供述の証拠能力(手続的適法性)。
規範
1. 印紙犯罪処罰法2条にいう「印紙」とは、日本政府が発行した名義の取引高税印紙を含む。 2. 偽造または変造された印紙をその本来の用途に従って処分することは、同条1項前段にいう「使用」に該当する。
重要事実
被告人AおよびBは、日本政府発行名義の取引高税印紙を偽造・変造し、これを使用したとして印紙犯罪処罰法違反等で起訴された。被告人側は、当該印紙が同法の対象に含まれないこと、および「使用」の意義について争い上告した。また、被告人Aについては、重病および心神喪失状態での公判廷供述が証拠とされたことの違憲・違法を主張した。
事件番号: 昭和29(あ)1523 / 裁判年月日: 昭和30年2月3日 / 結論: 棄却
印紙犯罪処罰法制定後、その施行中に政府が新たに発行した取引高税印紙は、同法にいわゆる印紙に該当する。
あてはめ
1. 取引高税印紙は日本政府が発行する公的な印紙としての性質を有するため、同法2条の「印紙」に含まれると解するのが相当である。 2. 偽造印紙等の「使用」については、原審が示した判断(本来の用途に従い真実の印紙として行使すること)を相当として肯定した。 3. 被告人Aの心神喪失等の事実については、原審においてそのような事実は認められないと判断されており、防禦権の侵害や違憲の事実は認められない。
結論
取引高税印紙は同法上の印紙に含まれ、その偽造品等を用いることは「使用」にあたる。また、心神喪失等の主張は前提事実を欠くため、本件各上告を棄却する。
実務上の射程
印紙犯罪処罰法の客体および「使用」の概念を確定させた点に意義がある。司法試験においては、行政法上の公文書や印章に関する罪の「行使」概念と同様に、本来の用途に従って用いることが「使用」にあたることを簡潔に示す際に参照すべき判例である。
事件番号: 昭和30(あ)553 / 裁判年月日: 昭和30年8月9日 / 結論: 棄却
使用済の印紙であつても財物であつて盗罪の目的となる。