被告人等第在宅の家人五人全部を縛り上げ目隠をした後一時間に亘り家内の金品を取出し現金をポケツトに入れ衣類等或は行李、リツクサツクにつめ込み、或は風呂敷に包み、或は着込み又は懐中したときは金品を自己の実力支配内においたことは明らかであるから被告人等が右金品を戸外に持出す前現場で逮捕されたことは強盜既遂罪の成立に影響がない。
犯行現場での逮捕と強盜既遂罪の成立
刑法236条,刑法43条
判旨
強盗罪の既遂時期について、犯人が財物を自己の実力支配内においたといえる場合には、いまだ財物を戸外に持ち出していなくとも既遂に達したものと解すべきである。
問題の所在(論点)
強盗の際、金品をカバンや衣服の中に収めるなどして自己の管理下に置いたものの、犯行現場である家屋からそれらを持ち出す前に逮捕された場合、強盗罪の既遂が成立するか。財物の「占有移転」の成否が問題となる。
規範
強盗罪における「奪取」の既遂時期は、犯人が財物を占有者の意思に反して自己の実力支配内においた(占有を取得した)時点をもって決すべきである。必ずしも現場から財物を持ち出すことまでは要しない。
重要事実
被告人らは、在宅していた家人5名全員を縛り上げ、目隠しを施した。その後、約1時間にわたり家内の金品を物色し、現金を自らのポケットに入れ、衣類を行李やリュックサックに詰め込み、一部は自ら着込み、あるいは懐中に収めるなどした。しかし、これらの金品を戸外に持ち出す前に、現場において逮捕された。
あてはめ
被告人らは、家人全員を拘束して抵抗不能な状態にした上で、1時間もの時間をかけて金品を組織的に整理し、現金をポケットに入れ、衣類をカバンに詰めたり身に付けたりしている。この時点で、財物は元の占有者の支配を離れ、被告人らの排他的な実力支配内におかれたといえる。したがって、戸外に持ち出す前であっても、占有の移転は完了していると評価できる。
結論
強盗既遂罪が成立する。
実務上の射程
窃盗罪や強盗罪における既遂時期(占有移転時期)の判断基準を示す。財物の大きさ、形状、運搬の容易性、犯行現場の状況等に基づき、犯人の「実力支配」が確立したかを個別具体的に検討する際の基礎となる判例である。住宅内での犯行においては、カバンやポケットへの収容をもって既遂とする傾向を裏付けるものである。
事件番号: 昭和24(れ)1750 / 裁判年月日: 昭和24年12月22日 / 結論: 棄却
一 犯罪の日時、場所は罪となるべき事實ではないから、原判示のごとく犯行の同一性を特定し、相當法條を適用し得る程度の判示あれば足りるものであるこというまでもない。また共謀の日時、場所はこれを判示する必要のないものであるから、原判決が判示のごとく共謀したと判示した以上判示に欠くるところはない。また判示のように「國鐵當局係員…
事件番号: 昭和24(れ)552 / 裁判年月日: 昭和24年7月14日 / 結論: 棄却
しかし、有罪判決に示すべき強盜罪の一構成要件たる「他人の財物」であることを判示するには、該構成要件に該當するか、否かを判定するに足る程度の具體的事實を掲げさえすれば差支えないものであつて所論のように、目的物の確定數を表示することを要するものではない。そして原判決は、A所有の中古三つ揃背廣服一着外衣類七點位と判示していて…