一 しかし舊刑訴法第三二〇條第一項には「裁判長を公判期日を定むべし」と規定してあつて公判期日を定めるには日及び時をもつてすべしとは規定していないのであるが、ただ従來の慣行によつて日及び時を指定しているのである、それ故原審が判決言渡期日を指定するにあたり日のみをもつてし時を定めなかつたとしてもその期日の指定を目して違法なりと云うことはできない。 二 舊刑訴法第二四八條及び第二四九條の關係においては國家地方警察の警察官及び自治體警察の警察吏員のうち巡査のみが司法警察吏となり巡査部長以上は司法警察官に該當するものと解すべきである。
一 公判期日の指定に時を指定することの要否 二 舊刑訴法における巡査及び巡査部長と司法警察との關係
舊刑訴法310條1項,舊刑訴法248條,舊刑訴法249條,警察法35條,警察法46條,警察法附則19條
判旨
警察法上の「巡査部長」は巡査とは異なる独立した階級であり、刑事訴訟法上の司法警察員(司法警察官)に該当する。また、公判期日の指定において日のみを指定し時刻を定めなかったとしても、直ちにその期日指定が違法となるものではない。
問題の所在(論点)
1. 裁判長が公判期日の指定において「時刻」を指定しなかったことは、期日指定として違法か。2. 警察法上の階級である「巡査部長」は、刑事訴訟法上の「司法警察官(司法警察員)」に該当するか、あるいは「司法警察吏(司法警察員補助者)」に該当するか。
規範
1. 警察法上の階級制度において、巡査部長は巡査とは明確に区別された階級である。2. 旧刑事訴訟法下の司法警察官吏の区別において、巡査部長以上の階級にある者は「司法警察官」に該当し、巡査のみが「司法警察吏」に該当する。3. 裁判長が公判期日を定めるにあたり、法令上「日」の指定は要するが、必ずしも「時」まで指定することを要件とするものではない。
重要事実
被告人に対する刑事事件において、裁判長が次回の判決宣告期日を「来る九月二一日」と日の指定のみを行い、時刻を指定せずに公判を終結させた。また、証拠として採用された聴取書は、自治体警察の巡査部長(B)によって作成されたものであった。弁護人は、期日指定の不備および巡査部長が司法警察吏にすぎない(司法警察官ではない)ことを理由に、証拠能力や手続の違法を主張して上告した。
あてはめ
1. 期日指定について:旧刑訴法320条1項は裁判長が公判期日を定めるべき旨を規定するが、日時に加えて時刻まで指定すべきとの明文はない。本件では、指定された日に弁護人が実際に出頭して判決言渡が行われており、手続上の実質的権利侵害も認められない。2. 巡査部長の地位について:警察法35条・46条において、巡査部長は巡査とは別の階級として規定されている。同法附則19条により、巡査のみが司法警察吏であり、巡査部長以上は司法警察官と解するのが相当である。本件聴取書を作成したBは巡査部長であり、司法警察官としての権限を有する者の作成にかかるものといえる。
結論
1. 公判期日の指定において時刻を定めなかったとしても違法ではない。2. 巡査部長は司法警察官(現行法上の司法警察員)に該当するため、その作成した書面の証拠採用は正当である。
実務上の射程
本判決は旧刑訴法下のものだが、現行法においても巡査部長が「司法警察員」としての権限を有することを確認する際の基礎となる。また、期日指定の効力については、実務上時刻指定は当然行われるべきであるが、指定漏れが直ちに判決の破棄事由となるわけではないという手続的有効性の限界を示している。
事件番号: 昭和23(れ)91 / 裁判年月日: 昭和23年4月22日 / 結論: 棄却
一 記録を精査するに、昭和二二年一一月一二日午前一一時の原審第一回公判期日において、辯護人田中榮藏不出頭のまま開廷の上審理を遂げ辯論の終結せられるに至つた経緯については、洵に論旨所論の通りである。しかし、右原審の公判には、共同辯護人中井宗雄が田中辯護人に代つて出頭し被告人の辯護に當つて居り被告人も同辯護人の辯論はこれを…
事件番号: 昭和23(れ)554 / 裁判年月日: 昭和23年10月12日 / 結論: 棄却
一 論旨は、被告人が警察署において不法に監禁され、違法若しくは不當な取扱をうけたことを非難するにある。しかし、たとえそのような事實があつたとしても、それがために所論のように公訴の提起が無効になると云ういわれはなく、又それがために被告人に對し無罪の判決を言渡さなければならないという筋合もない。 二 原審判決に對する上告は…